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第4話

「―――魄よ、そろそろ……お主の答えを聞かせてはくれぬか?その、お主と我が……御身契りし……運命の番となる事の答えを……我はその答えをお主の口から直接聞くために此処にいるのじゃ」 「王花様……それは、今はまだ答えを出せません―――誠に、申し訳ありませんが……」 「何故じゃ……何故、お主は我の気持ちに答えてはくれぬ!?もしや、お主―――心に決めた者でもいるのか……お主が、心から運命の番になりたいと……願う者がいるとでもいうのか―――答えよ、魄!!」 「…………」 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ いけない、ふいに―――強い眠気が襲ってきたため目を閉じてしまっていた。 まだ公務が残っているというのに―――僅かの間だが、かつて王宮で起きた様々な事件の夢を見ていた。 中でも強烈に僕の心と頭の中を支配して苦しめたのは―――三日月が浮かび、夜桜の真上で王花様が僕へと愉しげに話しかけてきたあの夜の光景だった。 《あの夜―――僕は王花様の問いかけに答えるべきだったのだ―――そうすれば、あんな事にはならなかったかもしれないのに―――僕は困り果て、つい無言になってしまった》 今にして思えば――――この夜から、僕と目の前で笑いかけてきた心優しき王花様―――そして、僕らを取り巻く者達の運命が決まっていたのかもしれない。 まさか、僕の間違った行動のせいで―――あんな事になるとは思いもしなかった。 あのように優しい笑顔を身分関係なく浮かべてくれた王花様の気が触れ、廃人同然のようになってしまうなんて―――あの夜の僕には思いもしなかった。 《これから―――王花様の身に何が起きたのかを綴ることにしよう。今宵も綺麗な三日月が出ている。昔を思い出し、あの運命の歯車が狂ってしまった日の記憶を綴るには、うってつけの夜なのだから―――》

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