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第7話
「……っ……ふっ…………い、一体……貴方は何をしたいのですかっ……このように周りに多くの方々がいるというのに……このような事をなさるなんてっ……ほとんど―――し、初対面だというのに!!」
思わず―――怒りと不安の感情を露にしてしまった。今まで、そのような感情は―――全て己の心の中にし舞い込んでいたというのに―――。
僕の目の前で童をからかうかのように愉快げに微笑みかける―――この燗喩という、ほとんど面識すらなかった男が僕の中から《本当の顔》を引き出したのだ。
「……そちは何を怒っているのだ?よもや、私が言った醜い顔というのを―――そのままの意味でとらえたのではあるまいな?誤解するな――あれは、死んだ魚のような目をしているそちを醜いと言ったのであって―――そのままの意味ではない。むしろ、今のように私に歯向かうそちは―――誠に美しいぞ」
「ち、違いますっ……僕が怒っているのは――このような人目がある場でこのような行為をすることであってですねっ……」
――パチ、パチ……
と、僕が顔を真っ赤にして怒りと焦りの感情を露にしながら少し強めの口調で燗喩殿へと言い返した時だった。
今までずっと無言を貫き通しつつも、好奇と侮蔑の視線を僕に向けていた意地悪な世純が座っている場所から拍手が聞こえてきたのは―――。
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