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第15話

「―――はあ?まさか、お前……幼なじみの顔すら満足に覚えてねえのか……って、まあ久々の再会だから……仕方がないか。それより、こんな時間に―――あんな男と何をしてたんだよ……しかも、こんな桜の下で……って、それはいか。俺の名は―――翻儒だ……幼い時、よくここで木登りしてただろ……思い出したか?」 「ほ、翻儒……って……あの翻儒!?僕よりも弱々しかった―――?今まで―――ずっと何処にいたの?ずっと……ずっと心配してたんだから……っ……」 「はは―――その割には俺の顔すら覚えてねえのか……まあ、お前は昔っからそういう奴だったから気にはしてねえよ。それより、俺が何処にいたのかより―――お前こそ、こんな場所で何をしていたんだよ!?」 昔、よくこの桜の木に登って一緒に遊んでいた幼なじみの男の子―――翻儒が急に僕の前に現れ田茂のだから、僕は目を丸くしながら怪訝そうな表情を浮かべて尋ねてくる翻儒を見つめてしまう。 僕の記憶の中での翻儒は幼い時のままで止まってしまっていたため、前は僕よりも体が細く―――身長も低かった彼が、今は僕よりも遥かに身長が伸びて体躯も屈強になっている事に対して驚きを隠せずに思わず凝視してしまうのだ。 「―――えっ、と……そ、そうだ……翻儒は王花様の姿を見ていない?」 「王花様……いや、見てないけど―――それが、どうしたんだ?」 その時、脱兎の如く逃げ去った護衛官の男の顔が―――ふっ、と僕の頭の中によぎった。彼は、とてつもなく焦ったような怯えているような複雑や表情を浮かべた後、そのまま逃げ去ってしまったのを思い出し―――、 僕は逃げ去る直前に護衛官の男が―――食い入るように見つめていた場所に目線をやるのだった。

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