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第29話

「…………」 「…………」 その屍王様の問いかけに、周りの守子達は誰一人として手をあげようともせず沈黙を守っている。それもその筈だ―――これは屍王様の息子である王花様の命が関わっている問題であり、王に言及する事など――容易な事ではないのだ。 一歩間違えてしまえば―――王の怒りを買ってしまい、処刑されてしれない状況に陥るかもしれぬのだ。 それゆえ、我が身だけが可愛い周りの守子達は誰一人として――手をあげようともせずじっと時が過ぎ去るのを待つのみだ。 ―――すっ…… と、そんな時―――ふいに手をあげる者が一人だけいた。 「うむ、世純か―――お主は我が息子である王花を手にかけて廃人同様にした重罪人が何者なのか目星がついておるのだろうな?面をあげよ―――それが誰なのか余に申してみるがよい 」 「畏まりました、偉大なる屍王様……その者の名は―――」 と、そこで世純は―――その先を告げるのを勿体ぶっているかのように、わざとらしく一度息を吸い込むと口元を歪める。 「―――燗喩殿でございます!!」 妙に大きな声が―――静寂に包まれていた部屋の中全体に響き渡るのだった。

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