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第31話

「燗喩よ―――その言葉……嘘偽りはないか?我が息子の王花を手にかけ命を奪おうとしたのは―――誠にお主なのだな?」 「はい、王様―――誠にございます。ですから―――私はどんな罰でも受け入れます」 嘘―――なのに、その言葉は誠ではないと言うのに燗喩殿は黒子から責められた僕を守ろうとしてくれているのだ。その証拠と言わんばかりに彼は、一度此方へと目線を向けると、燗喩殿が王花様を手にかけて命を奪おうとした事に対して続けて否定の言葉を口にしようとする僕の様子を察したのか―――それを止めるように首を少しだけ左右に振るのだ。 「屍王様―――燗喩が王花の命を奪おうとした罪は重い……王位継承権を与えられた吾が彼の罰を決めてもいい?」 「黒子よ――――お主の好きにせよ」 すると、唐突に―――今まで屍王様の隣にいて愉快げに微笑んでいた黒子が燗喩殿のいわれなき罰について言及してきた。そして、あろう事か―――屍王様は黒子の要求をすんなりと受ける入れるのだ。 「ん~……そうだな、王花を手にかけて命を奪おうとした罪は重い……とはいえ……燗喩は今まで王宮に支えていた優秀な赤守子―――。斬首や首吊りの刑は――流石に釣り合わない上に、単純すぎて面白くない。となると――――」 「―――この王宮内から追放し、流刑にされては如何か?そして、吾は――――燗喩の代わりに新たに赤守子としてふさわしい人物を選出する……それで如何でしょうか……屍王様?」 黒子は全身を黒布で覆われ、表情が見えないにも関わらず、まるで童のように無邪気かつ残酷に微笑みながら側にいる屍王へと尋ねる。そして、それすらも―――屍王様はあっさりと受け入れて頷くのだ。 このような経緯で、いわれなき罰を被った燗喩殿は――――理不尽にも流刑に処される事になってしまうのだった。

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