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第32話 世純の腹の中
―――やはり、黒子と結託していて正解だった。
あの忌々しき燗喩が―――こうも、あっさりといわれなき罰での処刑を受け入れざるをえない状況となり……その結果、黒子が言っていた通り―――流刑に処される事になるとは―――。
ああ―――愉快だ、こんなに愉快だと思えるのは―――あの駒であり不快極まりなかった護衛官の男が池の中で息絶えていた時以来だ。
そもそも、あの燗喩という男は――ほぼ同時期の童子(少年)の頃に、この王宮に来た時から気にくわなかったのだ。
私のように池の中で息絶えた護衛官の男から厭らしい目で見られ、嫌々ながら身を売る必要もなく―――、
奴は元からαで王宮に来た時点で既に赤守子となる事が決まっていた奴は、私のように黒守子になる為に必死で勉学するといった努力をして周りの守子達の信頼を得る必要などなく―――、
奴の笑顔を見るたびに―――己の中で劣等感が募っていった。
しかし、その報いを燗喩は受けたのだ―――。
あの恐ろしい―――黒子という全身黒衣の鬼によって。
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