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第38話 黒子の腹の中

―――その後の事は、本来ならば思い出したくもない。 吾は――――王宮で何不自由なく暮らしている王子の王花に見た目が瓜二つらしく、愛する斗鬼や村人達―――そして最愛の家族の命を奪った憎き男が目を丸くして吾の姿を凝視していた。 そして、吾にとって憎き男ーーー周りに引き連れていた部下らしき男達から燗喩と呼ばれていたその男は――二つの選択肢を提案してくる。 命を助ける代わりにーーー王子である王花とやらの身代わりとして王宮に身を置くか、 このまま愛する家族や村人達ーーーそして少年(斗鬼のことだ)と共に生涯を閉じるか、 吾は悩んだ―――。 愛する者達が唐突に奪われた事からくる凄まじい頭痛と目眩に必死で耐えながら出した答えは―――、 村で暮らしていた頃の名や姿を消し去り、新しく生まれ変わった黒子となり、王子である王花とやらの身代わり兼付き人として王宮に身を置き―――燗喩という憎き男に、どれだけ時が経とうとも必ず復讐してやると深く心に誓う事だったのだ。

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