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第39話
◇ ◇ ◇ ◇
燗喩殿が世純や黒子から、いわれなき罪を告発されて屍王様自らが流刑と命じられ、そのまま警護官達に無理やり何処かへと連れて行かれてしまった。おそらく、これから燗喩殿は牢に入れられてしまうのだ。
そして地獄のような御前会議がようやく終ろうとしていた時、僕は誇らしげに笑いかけながら―――優雅な足取りで此方へと向かってくる黒子に気づいた。
「―――愛しい燗喩がいなくなって悲しい?悲しいよね……それは吾にだって分かるよ。だけど、お前はこれからの事を気にするべきだよ――」
「―――こ、これからの事とは……一体、何の事ですか?」
「お前も―――直接的とはいわずとも、間接的に王花を傷付けた……だから、燗喩ほどの罰とはいわないにしろ、何かしらの罰を受けるべきだ……屍王様、吾が―――この魄とやらの罰を決めてもよろしいですか?」
頭を下げていた僕の辺りが―――いつのまにか黒子が立っていた事で影がかかり、ふっと暗くなったため思わず恐る恐る見上げてしまう。
すると、黒子は嬉しそうな―――それでいて憎らしそうな表情を浮かべつつ僕を見下ろしてきたのだが、次の瞬間―――ぐいっと強い力で僕の髪を引っ張りあげる。急に頭部へ与えられた鋭い痛みに―――顔が歪んでしまう。
「……っ……い、痛っ……」
「肉体的な痛みという罰は、これくらいにしておいてあげる……吾は鬼ではないからね。精神的な痛みは―――そうだ、お前が王花をこんな風にした責任をとってもらう……これからは吾でなく、お前が壊れてしまった王花の世話をするんだよ……暗い暗い牢屋の中で。それが、お前に対する精神的な罰さ――。お前の味方である燗喩は―――じきに王宮からいなくなる……覚悟して王花と共に牢屋に入る事だね」
こうして―――愛する燗喩殿が側からいなくなってしまった事に対する絶望を抱きながら、僕は心が壊れてしまった別人のような王花様と共に――暗いじめじめとした陰惨な牢屋へと入る事になってしまったのだった。
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