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第46話

◆ ◆ ◆ ◆ 「こ、この……愚か者め―――眠赦よ、世純様を連れてくるなと……申したはず!!何ゆえに、黒子様と懇意にしていた世純様を連れてきたのだ―――これは、あまりにも……あまりにも惨い……」 「―――も、申し訳ございませぬ……ですが、懇意にしている世純様だからこそ……周知していた方が宜しいと思いましてっ……」 「ええい、もうよい。一体、何が……あったというの……だっ……!?」 部下の眠赦に対する恫喝を―――世純は聞く様子すらなかった。眠赦の慌てふためく声に叩き起こされ―――急ぎ足で世純は昨夜、黒子と共に一夜を過ごそうとした己の寝所へと向かった。 そして、襖を開けた世純の目へ真っ先に飛び込んできた光景―――それは、己の部屋の全身鏡が粉々に砕かれ床に散らばっている破片の残骸と―――額と左胸に、それぞれ大きめの鏡の破片の切っ先が深く突き刺さり血にまみれて絶命し――壁に磔のようにされて既に息耐えてぐったりとしている黒子の遺体だった。 その流れ出た血の量は凄まじく、磔にされている周辺の壁や足元―――床下にまで、王妃が暮らす妃宮の庭に咲いている椿のように真っ赤な血が飛び散っている。 しかも、あの護衛官の男が遺体となり―――王庭の池で浮かんで発見されていた時と同様に――黒子の唇までもが細い糸で、ぎざぎざに縫い付けられていたのだった。

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