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第47話

◆ ◆ ◆ ◆ ―――それから数日が経ち、王宮内には黒子の唐突の死に関する様々な噂が飛び交っていた。 世純は周りの守子達が好き勝手に黒子の死について推測し、有ることない事を噂しているのを見たり――或いは誰かから聞いたりする度に不機嫌そうに眉を潜めるのだ。 己にとって初恋の者が好き勝手に噂されるなど……決して気分のよいものではない。恋心を抱いたのが何時かなど関係ない、と世純は思う。黒子に対する恋心を抱いたのを自覚したのが、つい最近だろうが愛する者を唐突に失い、ましてや周りの――黒子の本来の名前すら知らないような奴等から好き勝手に噂されるのは世純にとって腸が煮えくりかえる程に不快だった。 黒子の自害ではないか――(そんな筈がない) 黒子が黒布で隠していた姿が王花様に瓜二つなのは王花様と双子だったのではないか――(黒子は黒子であり本来の名は美魄だ) 黒子は屍王の愛人だったからそれを苦にしてこのような事をしたのではないか――(だから何だと言うのか) 黒子は屍王の愛人だけでなく世純様と親しき仲であり嫉妬からこのような事をしたのではないか――(それは断じて違う……私は愛する黒子を手にかけたりなどしない) 所詮、退屈極まりない王宮内で自分に関係のない事件があれば――奴等にとって極上の媚薬となりうるのだ。 《人の噂も75日まで――》 私は、このような苦痛と辱しめを王宮という狭い檻の中で75日も耐えねばならぬのか――。 と、世純は――あの夜に限って――何故、公務を優先させて己の寝所に黒子を一人にしてしまったのか自問自答するが――そんな事をしても無意味だと諦めてしまった。 『過去に失った時と誤った選択は――二度と取り戻す事が出来ないのだ』

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