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第50話

「――私も……私も眠赦の意見に……同意致します。私とここにいる翻儒は――あの黒子様があのように無惨な状態となられる前に――世純様が黒子様の自室へと向かわれるのをこの目で拝見しました……そうですよね、翻儒?」 「は、はい……恐れながら――尹医師の仰る通りでございます」 ―――凛とした尹医師と魄の幼なじみとかいう翻儒とやらの声を聞き、今――世純は懇意にしていた部下と、そして僅かにだが敵意抱いていた尹医師――それと己とはあまり関わりのなかった翻儒という童によって追い詰められているのだ――と自覚した。 証人が三人いる、というこの危機的状況に対して、どうしたらよいか分からなくなってしまった世純は思わず黙り込んでしまう。 自分が黒子を手にかけていない、と証言した所で――それに対しての明確な証拠がない。勿論、それは世純を追い詰めている奴らにとっても同じ事だが――結局は堂々巡りになってしまうのが目に見えている。 「く、黒子を手にかけたのは――私でございます。どうか、厳罰を――」 「…………いや、今の所はこれといった処罰は下さない。ただし、世純――貴様を牢送りとする。明確な期限は今の所は不明としよう……牢屋でもって己の罰を身にしみさせ反省するがよい」 己の罰――そうだ、それは……かつて、自分自身が眠赦と同じような事をしてしまったことだ。 因果応報ーーー。 これはかつて無罪な燗喩に対して、いわれなき罪を被せた愚かな自分に対しての――罰なのだ、と世純は今更ながらに気付くと、がくりと力なく頭を垂れるのだった。

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