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第114話
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
そろそろ、私の眠気も限界に近づきつつある。
だが、今宵は長年苛まれた悪夢に魘されて何度も飛び起きる事なく、私の隣ですやすやと寝息をたててながら眠っているこの子と共に穏やかに眠れる事だろう。
この王宮内を舞台にした愛憎渦巻く《まじわひ物語》も――ようやく佳境に入りつつあるのだ。
王宮に嵐が吹き荒れる事となった大事件が起きた夜の事は年月が過ぎた今でも私の瞼に焼きつき、そしてずっとある後悔に苛まれている。
皮肉にも、その夜も――今と同じように窓の外では強い風が吹き、まるで鉄の容器をひっくり返すかの如く雨粒が地面を乱暴に叩きつけていた夜だった。
いけない――若干、話が逸れてしまった。
今宵のような嵐吹き荒れるあの夜に何が起こったか――。
そして、その出来事がどのようにして王宮内に混乱を巻き起こし多大な人々の運命を狂わせていく事になったのか――。
何とか強烈な眠気に抗い、筆を進めてこの交わひ日誌に記していく事にしよう。
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