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第7話 ライフ 1-2

 普段は朝に三木が起こしに来るので、リビングのメッセージボードに絶対に起こすなと書いて置いた。  いま三木が仕事へ出る時間なのであれば、恐らくまだ七時かそれを過ぎた頃だ。 「一時間も寝てない」 「だから、起こすつもりじゃなかったんですってば」 「重い」  覆い被さるように布団の上から抱きつかれ、くぐもった声で文句を言えば、布団の端から出ていた頭のてっぺんに唇を落とされた。 「最近、広海先輩の顔見てなかったから。ちょっと見たくなっただけ」 「……」  そういえば最近は時間が噛み合うところが殆どなかった。  こちらを見下ろしている視線を感じ、ほんの少しだけ布団の端から顔を出せば三木は嬉しそうに頬を緩めた。  元々不規則なシフトの三木と、仕事の状況によって変則的に時間が変わる俺の生活は少々ズレていた。特に近頃は締め切りに追われた俺が殆ど家にいなかったり、今日のように明け方まで部屋に篭もって仕事をしたりで、三木の顔を見るのは多分一週間ぶりくらいだ。 「お前どこで寝てた」 「え? んー、客間」  俺の問いに目を瞬かせた三木はへらりと笑みを浮かべるが、俺は逆に眉をひそめた。客間と言えば聞こえはいいが、玄関横にあるあそこは殆ど物置だ。辛うじて使わなくなったソファがあるので、そこで寝たのだろう。

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