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第49話 パフューム 4-4

 俺の声につむっていた目がうっすらと開かれる。涙が浮かんできらきらとしたその視線に、言葉に出来なくらいたまらない気分にさせられた。 「もっと気持ちよくしてあげるね」  引き締まった足首を掴んで左右に広げると、その間に身を滑り込ませる。そしておもむろに先走りをこぼしていた熱いものを口に含んだ。刹那、びくりと広海先輩の身体が跳ね上がり、太腿がヒクヒクと痙攣する。手淫もせずにいきなり口内に含まれたことが、いつもより敏感にさせたのだろうか。口の中でいまにも弾けそうなほど熱が震える。  何度も唇から漏れる余裕がなさそうな声に煽られる。裏筋や陰嚢を指先で丹念に揉み撫で上げ、卑猥な音を立てながら頭を上下させれば、小さな嬌声が頭上から降ってきた。熱に浮かされたような艶っぽいその声に、自身の熱も下肢に集中してくる気がしたが、いまは目の前の欲に夢中で、それは頭の片隅に追いやった。 「瑛治……」  小さな声で名前を呼ばれた。さらりと髪を撫でられる感触に、ちらりと上へ視線を向ければ、目尻を赤くし、切羽詰まった様子で瞳を潤ませる視線とぶつかる。瞬間、じわりと身体が熱くなり、気づけばさらに夢中で彼の熱にしゃぶりついていた。 「ん、ぁっ、待てっ、やめ」  もがく身体を押さえつけ、さらに追い詰めていくと、押し寄せる快感を堪え目をつむる彼の目尻から、透明な雫が伝い落ちた。それが生理的なものであるとわかっていても、儚さを感じてそれにまた興奮してしまう。

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