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第41話 パフューム 3-2
小さく呟かれたその言葉の意味が、俺にはイマイチよくわからなかった。首を傾げてじっと広海先輩の姿を見つめていると、俯き加減だった顔がこちらを見上げる。いつもとは様子が違う雰囲気に、俺はそっと手を伸ばして彼の頬に触れた。
ひんやりしたその頬を撫でて、気づけば立ち尽くす身体を抱きしめていた。
「俺は、広海先輩じゃないと駄目だって、前から言ってますよね。なんで急に、そんな突き放すみたいなこと言うの」
いまここで抱きしめないと、彼がどこかへ消えてしまう気がした。心臓がうるさいくらいに鼓動を早める。
「まだ、いまなら戻れんじゃねぇの」
「なんでそんなこと言うのっ、戻れないよ。広海先輩がいる限り、俺は戻りたくもない」
なぜ急にこんな別れ話みたいなことを言われなくてはならないのか、全然理解出来ない。というよりそんなこと理解したくない。
この俺がどれほどの想いでいるのか、それをどれだけ目一杯、伝えてきているか、広海先輩だって充分わかっているはずだ。今さらになって彼を手放し、女の子と付き合うなんて出来ない。この人に出会ってから、俺はずっとこの人しか見えてない。ほかのなにも目に入らないのだから――どんな子が目の前に現れても、俺のことを好きだと言ってくれても、心は動きようがない。それなのにちょっと女の子がウロウロしただけで別れるとか、ありえない。
「いまのお前なら」
「戻らないっ」
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