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第4話
とりあえず、血の出てる部分は粗方 処置を終えてひと息付けば、自然と視線は男の身体をなぞってしまう。
理想の体型と言えばいいのか、オレだからこんなに性的に見てしまうのかは解らなかったが。
腹は、キレイに割れててスポーツでもしてる様なしなやかな筋肉に目を奪われて、視線が外せない...ゴクリと喉を鳴らしたことで、食い入るように見ていた自分にハッと気付いて慌てて首を振った。
男日照りが続いてるからなぁ。
明日でもまた、ハッテン場でも行かないとな...と考えた所で男に毛布を掛けて、服は下着以外を洗濯するために寄せ集めて抱え風呂場へ向かった。
洗濯の為に脱がせた服を探るとポケットから出てきたのはコインロッカーの鍵だけ。
携帯も財布も見当らない事を考えると、きっと、引ったくりの部類にやられたんだろうか?でも、あの路地から出て来たのは3人は間違いなくいたから、引ったくり...とも違う気がした。
まぁ、本来なら通報するんだが本人たっての希望だし1日くらい宿として貸してもいい。
風呂場を出て、ロッカーキーを持って部屋へと戻った。
男は、疲れたのかそれとも起きてるのかは解らなかったが、動く気配が無いのでオレはテーブルにキーを置く。
男の事は気にせずに俺は普段通り明日の出勤の準備をしてパソコンを開き早急に片付けなくてはならないシフト表の調整を始める。
講師は4人で主任はオレと〝夏樹真理亜 〟という女性の二人で6人でシフトを回している。講師4人を夏樹と俺でシフトを管理してる。
オレは大体が遅番だが、当時の彼氏の佐久間が言い出すまでは早番もやっていたから、とりあえずその形に戻せないかと相談を持ち掛けようと電話をタップした。
「あ、夏樹さん?お疲れ様...佐久間さんなんだけど早番多くしてって言われたんけど遅番出来る人いる?」
直ぐに電話が繋がり要件を伝えたら、居ないから新人募集してその間はオレと夏樹さんで遅番を回す事になった。
いい迷惑だよな、職場で妬かれるからって二人だけの遅番とか多くしたりしても、会社は受入れてくれたから甘えてたんだと今ならハッキリわかるよ。
「夏樹、遅ばっかりで悪かった」
そんな思いから謝罪したら、カラッとした明るい声で、別に休んだりする訳でもないし負担は無かったと言ってくれてホッと胸を撫で下ろした。
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