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第5話

電話を切り、とりあえず男を視線で捉えればまだ、眠ってる様だった。 とりあえず、オレも帰って来たばかりだしと、風呂へ行こうと思い立ち、チラリとベットの上の男を見て念の為と自分の携帯と財布と貴重品を持って風呂場へ向かった。 身体を洗い流し、パンツ1枚で部屋へと戻れば、男はまだ眠っていたからオレも近場のソファーでゴロンと寝転び、終わった洗濯を干してから同じ場所に戻る。 とりあえず、未練がましく携帯に入っていた佐久間のアドレスを全消去して満足してソファーで眠った。 あー飯食うの、忘れた。 仕方ないかと薄れゆく記憶の中で思ってた。 携帯が鳴り響き朝を知らせたので、目を覚ませばベットの上でボーッとこっちを見てる男と目が合った。 「おはよ」 俺が声をかければ男は首を傾げ〝おはようございます〟と丁寧に告げて来た。 状況を把握していないようで、キョロキョロ辺りを見回して俺をまた見て首を傾げる。 まぁ、アレだ。 拾い物は深夜で良く分からなかったが、目鼻立ちの整った、いい顔をしてると思う。 「とりあえず、路上で倒れてたから、拾った」 そう言いながら立ち上がり、朝飯の用意を始める。 ベーコンエッグと、冷凍ブロッコリーと食パンでいいなと目星を付けて、コーヒーメーカーのスイッチを入れた。 「ありがとう」 掠れた声で、そう呟くように吐き出したのを辛うじて拾った。 「ん、別にいいよ...てか、動けんの?」 男は、切れ長の目をしたスポーツマン風。 髪もそこそこ短いし多分俺より年下だろうし肌は褐色気味で、外で何かしらやってるんだろうと伺い知れた。 俺の質問に首を左右に降り、足首をベットに上げて摩るのを見てオレは足元まで見てなかったと慌てた。 「え!足?わり、傷しか見てなかった!何、捻挫!?」 オレが男に寄って足を見たら、あらビックリ結構腫れてた...痛そうだし、青くなってる範囲が広い。 「でこれ、骨やってない?」 触っていいもんか解らなくて手を差し出して見たが触れるのは止めた。 「ヒビ程度」 おいおいヒビかよ!てか、広範囲で相当青くなってんだけど...これって。 「ヒビって、病院行かねぇと!」 オレが男の顔見て言えば、太めの眉がゆるりと下がった。 「これは前にやったから、病院は行った...」 その後に更に怪我って事かよ。

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