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第7話

それを遅番でやって来た佐久間に渡せば... 「チッ 遅番多すぎ」 と、文句を垂れるがオレ達だけではそこまでが限界だった。 「数カ月は我慢して下さい」 そう、本当に人が足りないからなんだけどそんな事情知らない佐久間がニヤリと下賎な笑みを浮かべた。 こう言う顔をする時は大抵、馬鹿な事考えてんだよ。 「未練タラタラだな?リオ。たまになら相手してやってもいいぜ?」 ほらな。 てかさ、捨てた相手を何だと思ってんだよ! 「ははっ、冗談!オレは浮気する男嫌いなんで」 こちらから願い下げだっつーの。 そこまでプライド捨てたくないし、それなら割り切れる場所と相手で十分だ。 「ふぅん、つれないな」 つれてたまるかよ。 今になるとこんな男のどこがよかったのかと、疑問さえ浮かぶ。 帰宅中はそればかりで、本当にオレの見る目のなさに自己嫌悪しながら帰った。 帰宅に向かって歩き出してふと、そう言えば...家にはクロが居るんだっけと思った。 それにしても足首にヒビで固定もしなくて良いもんなのか?あんなに青くなってたら、かなり痛いよな? とりあえず携帯で調べてみた。 歩けなくは無い...が、やはり、固定しなければならないらしく病院には行かなくちゃならない事が解った。 まぁ、症状にもよるんだが、固定しないのは良くないらしい。 病院には、行ったと言ってたのに固定されてないのは不思議でならなかった。 うちの裏に個人病院の整形外科があるんで明日連れていこう。 そう、考えてたら家に着いた。 「ただいま...」 人がいると思うと自然に挨拶が出る。 鍵を開けて中へと入るとクロが玄関前のキッチンに立ってお帰りを言ってきた。 「ちょ、動いたら足!」 慌てて靴脱いで、クロを支えよとすると、手を前に出されて制された。 「大丈夫、痛み少ないから」 と、ひょっこりと足を引き摺っていた。 「バカ、ヒビは骨折と同じ扱いなんだぞ?明日病院行けよ?金は貸してやるから!」 オレはクロの腕をひいて、ベットまで誘導すると座らせた。 「何度行ったって診断は変わらない」 そう、呟くように言ったのを、俺の耳は拾ったが、その時は確かに変わらんだろうなと感想を持つ程度だった。 「...すまん、迷惑かける」 クロの謝罪にやっと部屋へと上がろうと靴を脱ぎ、左手のキッチンを見て聞く。 「いいよもう、で?何してたの?喉でも乾いた?」

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