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第8話
そう聞けば目を泳がせるから、フライパンを覗いて驚いた。
焦げた目玉...いや、潰れてるから玉子焼き?水分の多い、おかゆみたいなご飯。
...飯作ろうとしたってことか?
「これ...」
驚いて、クロを見たら叱られた犬見たいに小さくなって頭を掻きながらその頭を下げた。
「スマン、料理したこと無くて」
それは良いんだけどさ。
これ、卵は焦げた所が苦くて食えないな。
「クロ、もしかして腹減ってんの?」
「......」
返事しないあたり、減ってんだろな。
「座ってな、今夕飯作るから」
「すまん」
材料もあまりなかったので、とりあえず卵入れてお粥を作ってテーブルに置く。
「卵...そうか、最初からこっちに入れれば食えたのか」
そもそもの論点違うぞ?玉子焼きでも食えるからな?
「とりあえず食いなよ」
スプーン差し出せば、あっと言う間に完食した!はえーよ。
「お代わり...貰っていいか?」
申し訳なさそうに丼出して来るから受け取った。
「あー結構食べるタイプか、いいよ入れてくる。」
悪いな...と、ぶっきらぼうに言うセリフに最初は警戒でもしてんのかと思ったけど、素で口数少ない見たいだった。
とりあえず夕食にお粥もどうかと思うが、食い終わり、明日の病院代だが...
「保険証は?」
「番号控えてるのが、財布に入ってた」
持ってかれたって事かよ。
やっぱり、届け出した方が良いだろ?
「警察も近くにあるから、連絡入れないとカードとかもやばいんじゃねぇの?」
「それは問題無い」
そうですか。そう言えば、 通報するなって言ってたよな?
なんか悪いことして追われてるとかは勘弁して欲しいんだが...。
気になりだしたら止まらないんだよね、俺。
「クロは警察から追い掛けられるような事した、とか?」
バクバクと、心臓が警告のように鳴り響く、正体が知れたらオレが被害に合うかも知れない。
「...警察には、追われることはしてねぇよ」
ならいいや、ホッとしたよ。
軽いかもだけど数日しかいない人だしね。
それにしても...今日は俺が講師代行したからマジで疲れたなぁ。
俺は風呂から上がると、クロはまだ起きていたので声を掛けた。
「クロまだ寝ないのか?」
「ん」
俺のパソコン使って、なんか調べてるけど履歴とか消してんのかね?
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