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第11話

自分の上に男が居るだけで、身体中の血の巡りが良くなんだよ! いや、普通ならならない...クロの事意識してんだから仕方ないだろ!? 「...顔、赤いな」 だーかーらーオレはカミングアウトしたよな? 赤くなるの当たり前だろ! あろう事か、俺の頬に手を添えようとしてんのか無遠慮に手が頬に伸びて来て、オレは身体を揺らした。 「っ、触るなっ!」 今は危険なんだよ...溜まってんだから! 手をパシリと払えば、驚いた顔でオレを見るクロと視線が絡んだ。 なんだよ... 「やっぱり一緒に寝る」 え?何で!? オレはゲイって言ったよな!? 「意味わかんねぇ...」 混乱気味に言えばクロは素知らぬ顔で物申す。 「俺は気にしない、なら一緒に寝ても問題ない」 いやいや、オレっ!オレが問題あるんだって! そう思って跳ね除けたかったのに、オレを抱き込むようにして横になったクロ。 もがいても、ビクともしないのが腹立たしい。 でも、クロの温もり、肌の触れ合いにオレは...抵抗をやめた。 大きく、綺麗でしなやかな身体にこうやって、抱かれるのはやっぱりオレ自身嬉しかったのだ。 佐久間は、別れるまでの半年間オレを抱き締めてくれる事は無かった。 何度もダメかもしれないと、そう思いながらセックスが終わればオレは一人でベットで眠った。 今はその記憶が怖くて、次へ進めない。 いつもの場所で知り合う男が付き合おうかと何回か言われたけど、オレはそれを了承しなかった。 また、こんな辛い思いするならばと。 オレは最上級の弱虫だな。 抱き締めて、目を瞑る男は俺に肌の温もりを与えてくれる。 それだけで心が暖かくなるから、本当にこの性癖は勘弁願いたい。 けど、自分をさらけ出してこうやって普通でいてくれる事の嬉しさも無い訳じゃない。 カミングアウトした時点で、散々弄られたり、興味で寄ってきたりとそう言う奴ら案外多いんだよな。 あの佐久間も、最初は興味からだった。 初めての時なんか、オレも初めてだったから痛いのなんの...。 佐久間は、締め付けが良いと、初日から何回か抱かれたっけ。 あーなんか虚しいな。 チラリとクロを見れば、瞼は降りている。 「寝たか?クロ」 「いや」 起きてんのかよ! 佐久間の事なんか考えたくない...抱かれれば疲れてゆっくり寝れるのにそれを求めたくても相手は未成年...

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