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第22話
舌がオレのと絡み合って、角度を変える度に熱い息と、水音が漏れる。
「はっ...ん、クロんんっ、まっ、はげし」
オレの舌が、クロに吸われて四肢が痺れる。脳では既にこの行為を前戯と捉えてるはずだ。
おかげで凄く...やりてぇ。
オレはどうやら無意識に、クロに身体をスリ寄せて居たらしく、クロの激しいキスが止まった。
「はっ...ったく、何だよクロ」
口元を袖で拭けば、その腕がパシリと掴まれ、ゆっくりと下ろされる。
心臓がヤバいくらい早鐘を打つ中で、オレはクロの目を見ない事が最善の策と視線を逸らす。
「したい...キス、もう一回」
おいおい、勘弁して!!!!
抜いたとはいえ、オレは不発で性欲持て余してんだよ...マジで勘弁して。
そう思ってたら携帯が、メッセージを知らせる短いベルを鳴らして、オレ本来の思考がやっと蘇る。
「ほら、携帯鳴ったから離せ」
「ヤダ」
駄々っ子かよ。
てか、オレとことん振り回されてないか!?
とりあえず...クロがどうにか落ち着いたので、オレは携帯を見る。
「あークソ、面倒」
携帯見て損した気分だ。
何せ今さっきオレの前から立ち去った、佐久間からの言葉。
〝りお、そんなガキじゃ満足出来ないのは今まで抱いてきた俺が一番知ってる。
明日の夜、行くからガキは家に帰せ〟
ほんと、こいつ一体なんなの!?
オレは、お払い箱にされて挙句に浮気相手をしろと?
男なら、浮気にならないとでも思ってんのかね。
「はぁ...バカが。オレも相当馬鹿だなこんな奴に惚れてたなんて」
ソファーの上に携帯をブン投げて、脱力する。
視界の横に動く気配感じて視線向ければ...。
「ちょ、クロ?」
クロがオレの携帯弄ってて、慌ててそれを取り上げようとしたら抱き締められて、何だこれ?
「りお、りおはアイツとは釣り合わない」
解ってるよ。充分に。
「りおは、アイツに渡さない」
え!?な、なに!?
「ちょっと、クロさんや?」
お前は一体何を考えてんだよ。
いたいけな青年をオレってば、何やってんの...と、も、思うけど!
でも、好意向けられると素直に嬉しいよ。
「りおはダメだ、あの男りおを捨てたんだから、もう2度目はない」
うん、そうだな。
「解ってるし、2度目期待するほど気持ち残ってねぇよ」
これは事実だし今日ハッキリした事だ。
「ほんとか?」
身を乗り出して聞くことかね?可愛いな。
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