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第23話
クロの視線は、いつもオレを射抜く。
そしてオレはその視線に逆らえないんだよ。
「...ウソ言ってどーすんの。抱き締められたら寒気するわキスされたら気持ち悪ぃわで、散々だよまったく。」
素直に思ったから、吐露した言葉にクロがピクリと反応を見せた。
クロが、ソファーに座ってるオレを両手で囲むように正面に来られた。
あれ?オレ襲われんの?
「キス...」
顔が近けぇよ!
「は?さっきしたろ」
クロの手がオレの頬を撫でて、はぁと短く息を吐くあたり、今のクロは興奮状態だろう。
「足りない」
マズいと、解ってるのに...オレもキスが欲しい。
「...オレは足りてる」
自分の性欲を引き摺り出されそうで怖くなる。
「俺は足りない」
なんだこの押し問答。
オレはジッとクロを見上げれば、ニッと薄く笑ってオレの下唇にクロの親指が掛かる。
「俺がしてもキモイか?」
答えに詰まった...とりあえず、何故か佐久間に対抗意識燃やしてんのは理解した。
そして、コイツ童貞の癖にキスが上手いんだよ。
上手いというより...気に入ってしまってるから感情が...上手く感じさせるんだ。
「ど、どうだって良いだろ?それよりお前何キス魔みたいになってんの?」
「りおが、悪い。りおが甘くて、もっと欲しくなるから」
責任転嫁かよ!てか...ヤバイぞマジでコイツに堕ちそう。
目を見つめ合いながら、そんな事考えてたら、親指がオレの唇を下げて、歯茎っ!見えるからっ!
なんか恥ずかしくなって口を開いたら。
...待っていたかのように噛み付かれた。
クソ、高等な罠使いやがって...。
「んっ、は...ん、クロ、やめ...」
キスの合間に、止めようと手に力入れてもクロには通用しなくてオレの口の中、全てがクロに浸食される。
「は、りお...甘ぇ...」
甘くねぇし!
くちくちと、いやらしい音に身体が反応しかけた時に、ハタと気づいた。
てか、オレ...キスして大丈夫なのか!?
あの未遂事件から、まだ1日っ!
オレは力の限り、クロを押し返したら驚いた表情でオレを見てた。
ダメだ、このキスは危ない。
「ヤメロって!!もう、こんな事するなら家に置かねぇぞ!」
オレが怒れば、本気だと解ったのかゴメンと小さく答えて萎れた。
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