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第26話
抱かれた後の倦怠感を、一気に冷やすその言葉は心臓より深く突き刺さったんだ。
オレと付き合っていたんじゃないのかと聞けば鼻で笑ってこうのたまった。
「お前男だろ」
あぁ、あの時の絶望は経験した人しか解らんだろうな。
身体を開いて2年もの間オレは...ただの性欲処理として存在していたのだ。
縛り付けたくないと、あいつの行動に文句も付けずにいた。
それがこんな裏目になるとは。
────お、
────りお
あぁ、もう名前呼ぶなよ。
「佐久間、うるせぇ」
と、思った事が声に出た。
慌てて目を開ければ、佐久間ではなく...
「クロ」
瞳の奥に焔が見えた気がして、オレは寝起きの脳が一気に覚醒するのを感じた。
「アイツと間違えられんの、ムカつく」
ベットに縫い付けられるように、両手をクロに抑え込まれて、オレの上に座り込んだクロ。
オレは必死にもがいても、筋肉作ってる奴には叶わない。
「やめっ!」
首にねっとりと張り付く舌。
キスした時に絡めた、太く肉厚なあの舌がオレの首を這い回った。
「はっ...俺は間違えられる程の軽い存在かよ」
軽いなんて思ってない。
でも、オレは...こいつに恋心を持ってはいけない。
「ちょ、クロ!んな事...っあっ!」
オレが止める度に、クロはキツくオレの首を吸い上げ、噛み付く。
痛みと快楽が交互に与えられた身体はあっと言う間に下半身に熱を蓄える。
次第に、オレの欲望が引き摺られるように目覚めていく。
「んっ、やめ、ぁ...ク、ロ、ダメ...だ」
胸へクロの指が伸びて、ゴツゴツした男の手に嬲 られるとオレの身体は悦に入る。
「りお、りお...」
息を荒らげてオレの胸を引っ掻いては舌で首元を舐められて、それを悦ぶ自分を心の底では、貶 しているのに快楽に飲まれてゆく。
「く、ろ...っあっ────」
クロがオレの身体と重なり、ゴリっと互いの昂りが擦れた感覚にひゅっと喉が鳴った。
下半身が擦れ合う快楽は、オレはあまり知らない、アイツはすぐにオレの中へ入る準備に掛かるから、こんな愛され方は早急に事を済ませようとしていた、今迄とは全くの異質。
その初めての感覚にオレは無意識に腰を擦り寄せてしまう。
「ふっ...は、すげ気持ちイイ...」
ゴリっとオレの上から、クロの張ったのが擦り付けられてオレの身体はビクビクと反応を強める。
「やめっ...」
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