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第32話
職場へと着けば、早番の夏樹と挨拶を交わす。
「お疲れ様、松《まつ》」
仕事が出来て、綺麗で、細いラインの夏樹は女としては最上級だと思う。
ゲイでなければ、付き合って欲しいと言う位には。
「おー、お疲れ様申し送り頼む」
事務室は教職員室の一つ奥にあるから、オレと夏樹しかこの場所には入らない...一時期佐久間と、良く出入りしてたが今はそれもない。
「今日、佐久間さんとだよね?」
「ん?あーうん、そうだな」
夏樹は結構勘が鋭いから、もしかしたオレたちの事...と思ったらとんでもない事言い出した!
「気を付けて、松の心変わりに私でさえ気付いたんだから、アイツ絶対なんかやる」
は!?心変わりって!?
「ちょ、心変わりってなに!?」
「え?佐久間をずっと見てた自覚無し?」
ま、じ、か!
「夏樹は、オレの...あの...」
言い出しにくいって!でも、聞いとかないと...
「ん?ホモって事?」
先読みするな!!!
言いだしにくかったオレ情けないだけだろ!!
「あ、ハイ」
「別に偏見ないよ、ただ...なんで佐久間!?」
えっ!?そこなの!?
「あーっ、うん今なら何でかと思うけど、付き合ってた時は、初めての男だったし...」
あ...そこまで言う必要なかったと顔を上げれば夏樹は目をキラキラと輝かせてオレを見る。
「えっと...な、なにかな?」
「何かなじゃない!初めてのオトコってとこで止まってる!」
いや、うん、止まってないよ止めたんだ...
「いいか、私が松の遅番許可したのも!この話をっ!聞くための布石っ!」
「はぁ!?」
あれ、オレってみんなの手の上で転がってんの!?
「ちょ、夏樹落ち着け」
「ふおおおお!滾るっ!もっとホモくれ!」
「お前...腐女子かよ」
「そこいらの腐女子と一緒にしないで頂きたいっ!私はっ!自分の仕事を犠牲にして!松、あんたを見続けたのっ!この3年っ!」
待て待て、計算合わねぇ。佐久間とは2年だそ?
「3年?」
「そう、絶対素質あると思ったから!」
コイツめっちゃ怖い!
「あんな佐久間なんかに熱上げてっ!何度やめろと言いたかったか...」
「なんか、スマン」
なんか、残念通り越して可哀想になった。
だって、マジ泣きしてんだよ!?
「えっと、泣くなよ...」
「松っ、好き...大好きだよ!ホモの松っ、マジで好き」
えー...ここまで嬉しく無い告白って、受けた人いるのかな?
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