33 / 107
第33話
まぁでも...好かれてんだよな?
すん...と、鼻を一度啜り、オレを見たから
オレも声を掛ける。
「夏樹?」
オレが覗き込めば失礼かもだが山姥《やまんば》かと思う位髪を振り乱してオレを見た。
「次の人...どんな?」
え!?泣いてたのにいきなり、そっち話題!?
「次って...いねぇよ」
アイツはダメだ。対象外過ぎる。
「伊達に3年見てないよ?絶対気になる人いるでしょ!」
この人マジで怖い...。
「はっ、はい!」
気押しされて答えてしまった。
そして、今家でニートを1匹飼ってる話をした。
「へぇ、相手は10代...お肌はツルツルだし、食っちゃった?」
...こいつどこまで話聞きたいんだよ。
でも、知れてるならオレも話を進めやすい。
「あいつの事はいいよ、今は佐久間の話ししたい...オレそんなにわかる程か?」
「あからさまに、佐久間を意識しなくなったのは、1週間程で、佐久間話し掛けたそうにモジモジしててキモかった。」
こらこら。
でも、話したがっているならば、オレはちゃんとケジメを付けなくちゃならない。
もう関わるなと、ちゃんと伝えてオレはこの人からやっと解放されるのかも知れない。
夏樹とは、来週でも佐久間との話を聞かせると約束して、オレ一人事務室に篭った。
「うーっす、りお」
遅番の佐久間に会釈で挨拶して、オレは急遽入れ替わってるシフトの調整を始めた。
すぐに授業が始まるから、オレは若者の多い夜間二部の授業準備をする。
一部は佐久間、二部はオレ三部は佐久間で、全て2時間のコースだから殆ど合う事は無い。
だが、二部の教室にオレが入ると生徒はニヤニヤと、オレを見ている。夜間の部は若いのが多いから、真面目に聞かない奴もいる。
けど、それ以上にニヤニヤとオレを見てくる視線に嫌な予感が走った。
「こんばんは」
挨拶して振り返れば。
「っ...」
黒板は、殆ど使わないからスクリーンになっている。
そのスクリーンにオレが着替えてる姿を写し出していたのだ。
「先生、なんか色っぽいのな」
クスクス笑いながら巫山戯《ふざけ》た声がオレの頭を殴り付けてくる様だった。
知らない振りでオレは大きく溜息をつく。
「どうせなら、かわいい女の子の着替えシーンが良かったけどな」
声は、震えていないだろうか?
画像を消す為にマウスを操作したら面白い程、指先が震えた。
ともだちにシェアしよう!