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第35話
オレは、呼吸の苦しさを感じながらキツく佐久間を睨んだ。
「コレ、好きなんだよね俺」
ヒラヒラとオレの目の前にチラつく裸体の座り込んでいる姿が目に入り、さっきのあの恐れていた写真だと感づくとさらに喉の奥がヒュっと音を立てる。
佐久間はニヤニヤと笑いながら、その写真にキスを落とす。
「初めてのりお...あー思い出しただけでイける」
やめてくれと、言いたくても言葉は出なくて、涙が溢れそうになるから何度も深呼吸を繰り返した。
「っ、うっ...」
佐久間が、オレの尻を左右に割ったりくっ付けたりと遊ぶのさえ、嫌悪感を持った。
「おんな、選んだ癖に...オレに触んなっ!」
噛み付く勢いで叫べば、フンと鼻で笑われた。
「女選ぶ...と言うか普通だろ?男と女しか子供は出来ないし結婚だって女としか許可されてない世の中で、自分が正しいような言い方すんなよ」
男とか女とかじゃないんだよ。
今のオレの言いたい事は何一つこいつに伝わらないのか。
「お前は俺に何を求めてんだ?」
「今は...もう何も求めちゃ居ねぇし!求めたいとも思わねぇ...ンンっ...」
強引に顎を捕まれて、両顎の付け根を押されれば自然と口が開いた。
そしてその中に舌を差し込んで来た佐久間は、そのキスを深めようと手を離した。
「っ!!!!」
オレの口から、流れる血は佐久間のものだ。
噛み千切る気持ちで歯を重ねたが流石にそれは...出来なかった。
だから、甘く入ったがそれでも... 深手は負わせられた。
「っ、ひお っ!おまえ!」
「かっ、飼い犬に手を噛まれる気分はどうだよ!散々人をコケにしたツケだ!」
両手は縛られていても、これ位の反撃は出来るんだ。
そう思ったら、左側から衝撃が来てオレの頬が鈍痛を感じたと同時に身体が吹っ飛んだ。
「ぐはっ!!」
教材の入った段ボールが数個重なった場所に身体を思いっ切りぶつけ...意識が白みを帯びる。
「いい気になるな、りお...お前は普段通り俺が求めれば抱かれるだけで良いんだよ」
「...ばーか、誰が...いうこと、きく...かよ」
口の中は鉄臭くて、身体もあちこち痛みを訴えてて、意識は朦朧としていた。
多分頭でも打ったのか、脳震盪 に近い感覚だ。
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