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第36話
身体が重くて、口の中は鉄の味、頭はクラクラが治らないし酸素が足りない。
オレはどんどんと空気を吸い込む。
まだ、まだ、足りない。
空気を吸うのに、息は苦しくなるばかりで、手足が痺れて来る感覚にオレは脳震盪じゃなくて、どこかに出血でもしたのかも知れない。
佐久間は、そんなオレを見て笑った。
「りお、お前は誰のだよ」
その質問はもう今更だろうと答えなかったら、左脇腹が蹴り上げられた。
「うぐっ...はっ...は...」
「誰のだって聞いてんだよっ!」
ドカッと、また同じ場所を蹴られ本格的に意識が飛びそうになる。
「ぁ...ぁ、は...っ」
もう、勘弁しろよ。
お前は殺人犯になるつもりかよ。
身体がもう、言う事をきかない。
「りーおー、お前は俺のモノだからな?」
「う、ぐ...は、はっ...」
言葉すら出せないオレは、会社の冷たいフロアのうえに転がり佐久間がその上に跨ると横向きになってた身体を正面に向かせる様に転がされ、抵抗する力さえ出ないオレはされるがままに天上を見た。
息が苦しい...
死ぬのかな...
あぁ、最後って案外呆気ねぇな...。
「ほら、りお、黙ってないで俺のだと言えよ」
悪ぃな、例え声が出ても誰が言うかよ。
「身体に、もっと教えこまねぇとな」
そう言うなりオレの身体は腰を持ち上げられ、ベルトを外される。
あぁ、もっとクロに触らせとけば良かった...情けない事にそんな事しか頭を巡らない。
「クソ、ローションもねぇのかよ」
ガタガダとオレの机を探してる。
3番目の深い引き出しの中にオレはいつも、佐久間との行為を楽しむ為にゴムとローションを置いていた。
まだあると思ってたコイツも相当な馬鹿だよな。
それにしても、息が切れる。
「これでいい、用意しておかないお前が悪いんだからな」
人になんでも押し付けるなよ。
セックスは合意じゃなきゃ、強姦になるんだっつーの。
「ほら、お前の欲しがってた快楽をやるよ」
プシュッと、音が聞こえねちゃねちゃとした音を拾って、ハンドクリームかと覚悟を決めた瞬間。
「ぅ、ぁ...ぁ、はっ...」
中に入り込んで来た指の圧力に身体が引き攣る。
気持ち悪い...。
「キツいな、ドンだけあの男小さいんだよ」
そう、勝ち誇ったように高笑いしながらもオレの中を掻き乱し、昔の様にオレのいい場所を見付ける。
「っぁ!」
くそ、やっぱり...気持ち悪くても、ソコは別モンかよ。
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