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第37話

身体が嫌に重いなと、目を開けたら。 心配そうにオレを覗くクロと視線がかち合った。 「クロ...?」 「ばかりお。心配した...」 なんか、凄く悲しそうな笑顔に胸がチクッと傷んだ。 「ちょっと、松起きたの!?」 その声は、夏樹だとすぐに理解は出来た。 けど...クロの言葉に驚いた。 「変態女...」 なんでそんな呼び名!? 「ちょっと、クロちゃん!松起きたの!?」 クロの左右から、ポニテだけがユラユラ見えた。 「夏樹...起きてる」 そう答えたら、クロの慌てる声と共に夏樹が顔を出した。 「ちょ、変態女、やめ...」 「黙れ、無口男」 なんで、ここでけなしあいしてんの!? 「えっと、ここ病院?」 周りは真っ白で、いかにも病院と言わんばかりの、その場所はオレを混乱させるには充分だった。 「佐久間は?」 「りお、その名前言うな」 クロに睨まれて、もう何が何だか。 今、何故か腐女子の夏樹が剥いたりんごをショリショリ食べてて、それをただ、無言で見ているのはクロ。 結局どうなったかは、オレには解らないが揃ってオレにはアイツの話をさせたがらなくて、オレは現状知りたいだけなのに、何も話せなく...ただ、ショリショリとりんごを食べた。 4つに切られたりんごの最後の一つをフォークで刺して、口へと運ぶ瞬間にドアがノックされた。 クロが、そのドアの向こうへ出て、その隙間から夏樹が呼ばれる。 「変態女...聴取だと」 クロの言葉に、夏樹はオレの肩を叩いて出ていくと変わりに、警察官が2名入って来た。 一人は、真新しい制服で新人なんだろう。 手帳を開きペンを持っていた。 あぁ、警察沙汰になったのか。 漠然とそう思った。 覚えている事を話して欲しいと言われて、オレは記憶の範囲で答えて行く。 尻を嬲られた事も、写真の事も、そして... 「元彼氏です、オレの中では...」 なら、同意のプレイかよと新米の警官が言って、もう一人に肘で突っつかれていた。 「同意って...腕縛られて、無理やりされるのが同意なら、別にそれでいいです。 そう思うなら、そう書いて終わればいい」 オレは、下半身ゆるゆるだし...男漁りしては検査結果待つような人間だ。 別に今更純潔振るつもりは毛頭ない。

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