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第40話

夏樹が、凄まじく荒ぶってる。 「ちょ、俺のだってなんかしたの!?松の尻掘ったの!?」 かなりダイレクト過ぎて...勘弁しろよ。 「俺はりおを抱ける」 ドヤ顔で言うなよ。 確かに未遂と言うか...触りあっこはしたけど。 「黙れ童貞!」 これでして無いのが確実に伝わると思ったら。 「りおに捧げる」 恥ずかしげも無く言い放った。 そして、そんな事になれば...夏樹が。 「ぎゃー!!!!!!」 「「うるさい 黙れ腐女子!」」 二人共声が揃った。 あれ、なんかおかしいな...オレ襲われて掘られそうになって、蹴られて殴られて。 挙句入院までしてんのにオレの気持ちには誰も触れないのかよ。 まぁ、辛かったねとか言われる方が... オレ的には嫌かもしれない。 「お前らもう帰れ」 なんか、一気に疲れた。 オレの言葉に夏樹は帰ったがクロは診察して来ると部屋を出て行った。 独りになると、思い出すのは...佐久間のあの顔だ。 オレに触れる時アイツどんな顔してたかな。 そしてなんで急にオレとの関係を戻そうとしたのか...多分ムキになったのは、クロがいたからだろう。 あいつが居なければオレは...抱いてくれるなら佐久間でも良かったのかも知れない。「なんだ、オレ結局やりたいだけのビッチかよ...情ねぇな...っ...ぅ」 泣くつもりなんて無かったのに勝手に涙が止まらなくなった。 肉体関係なんて、どうでも良かった。 ただ、愛されたくてオレは一時の愛情を性への対象に求めてた。 抱かれている間は愛されていると錯覚したのはいつからか...オレにはもう。 「ふっ...っ、解んねぇよ」 溜まればしたくなる。 吐き出してスッキリしても、やっぱり足りなくて、オレは病気覚悟で男に抱かれに行くんだ。 そんなことを繰り返すのはどれだけ不毛か、どれだけ馬鹿なのか...解っていても依存してしまう。 あの快楽がオレの唯一愛されてるとして受け止めてるから。 それがとても情けなくて惨めだった。 「りお...」 あぁ、戻って来たか。 クロの声にオレは布団を被るしかできなかった。 カラカラとドアが開いて中に入ってくるクロの足音が耳に入る。 「起きてるか?」 肩の辺りを布団の上から撫でられてビクッと身体を震わせたから、起きてるのは完全にバレたな。 「診てもらってレントゲンも見た...異常なしだから帰れと」 なら、さっさと帰れ!

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