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第43話

翌日退院を迎える事になり、クロに連れられて自宅へと帰った。 クロの足は随分と良くなって、松葉杖が不要となっていた事に胸の奥が騒いだ。 足が良くなれば...居なくなる。 そんな存在のクロに嵌って、去られてから泣きたくはない。 案外オレの心はナイーブなんだよ! 「りお、今日は...する?」 「何をだよ」 玄関口、靴脱ぎながらオレが返せば後ろにいたクロがオレの尻をするりと撫でた。 「っ!?なっ、クロ?」 「する?」 あーもう、嫌でも解るよな。 こうやって、尻撫でられたら。 「......ん、す、る」 なんか顔が熱い...でも、溜まるし、出すだけだし、一応昨日性病検査では大丈夫で、潜伏期間の長いのだけ...気にすれば。 だから、言葉に甘える。 「解った」 クロが、そう言ってオレの頭撫でた。 なんかさ本当に...嬉しいのかも。 自分の頭片手に髪をクシャりと握り込んで、玄関で足を進めるのを躊躇うほどには赤くなってたと思う。 クロに気付かれる前に、深呼吸して中へと戻った。 クロのいる二人だけの空間。 シンとしてて、言葉もでない。 「りお、ここ」 呼ばれて、クロが指す場所を見たら... 何故かソファーに座ってポンポンと胡座をかいた自分の間を叩いてて、これって。 「そこがなんだよ」 「おいで?」 「っ...なっ、何言ってんだよ、お前足痛てぇだろうが」 「昨日一人で寝た...りおが足りない」 なんなのこの子!?ダイレクト過ぎやしませんかね!? 「今日はりおを甘やかすんだから早く」 甘やかされんの...は、好きだ。 だから、オレは先の事を考えもしなしでクロの足の間に座ってしまった。 抱き込まれて、クロの温もりがなんか凄く切なかった。 「りお...りお」 何度も名を呼びオレの髪にキスを降らせる。 「ちょ、クロ...やめっ...っ...ばっ!バカっ」 あろう事か、クロが低い声でオレに...二人しかいないこんな場所で。 『りおの性欲は俺が満たす』 なんて言いやがった。 クソッタレ!童貞が何言ってやがると怒りたかったのに、クロの温かさにそんな気も失せてしまった。 「お前子供体温だよな」 「りおが、蛇みたいなんだろ。」 失礼な!確かに体温低いですが!

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