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第58話
クロは、ひとつ頷く。
「ん」
「はっ...淫乱、だ」
そしてまた一つ。
「ん」
「良いのかよ、お前女知らねぇまま...んあっ!」
オレが最後まで言葉を紡がせて貰えなかった。
クロの熱がオレの中で更に硬化し、中で脈を強めているのさえ伝わってくるのだ。
こんなにオレを欲する人は居なくて、オレはついに...クロに堕とされた。
「クロ...はっ、ん...キス、していいか?」
「り、お?」
キョトンとしたセックス中にあるまじき表情に、オレも苦笑いが零れる。
「も、降参...オレの意地が馬鹿みたいに思えて来た。」
そう言って、クロの額にキスを落とす。
「俺のに、俺のりおになってくれるのか?」
「オレを手なずけられたらな。」
悪いが、ひと筋縄では行かねぇからな。
そういう表向きでいさせて欲しい。
「俺...りお、俺だけ?」
なんでそんな不安そうに、瞳揺らしてんだよ。
「そう、だな...気になる奴も居ないし。今は...お前だけだ、クロ」
クスッと笑って、眉にキスをすれば、クロのがもう1段ギアを上げた。
ちょ、裂けんだけど!?
「俺の、りお...」
そう、呟いてオレの最奥をもう1度突いたクロの大きさと、突き抜ける何とも言い難い感情とで、オレの目の前は再びチカチカと星が散る。
「え?あっ!うあっ...ひっ、や、ん」
凄く、クロが...オレを躍動的に突き上げて、今まで未踏の最奥がジリジリと熱を持ちはじめた。
「あっ、あっ、や、ん、く、ろ、んっ、あっ、やら」
中がぐちゅぐちゅと淫靡な音を漏らし、対面座位が初体験ってどんだけマニアックなんだとか、初めて体験する深さにオレは突っ込む事さえ叶わない。
「ふっ、ふっ、りお、りお...」
今まで、我慢していたのが爆発したように、クロの腰はベットのスプリングを利用し、上から巧みに肩を引き下げてオレの中で暴れ狂う。
「ひあっ、あっ、や、ふか、っ...んっんっ」
「すき、りお、すき...っ、も、絡み付いて...離れねえっ...」
何を言うのだこの男は...クソっ。
気持ちいい...。
「あっ、や、い、いきそ、っ、ぅ、」
オレの中で熱が燻り出して、キュッといつもは柔らかいモノが収縮する。
排出の合図だと、オレは快楽に身を委ねようと、クロの上で完全に身を任せるために腕の力を抜こうとした瞬間だった。
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