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第81話

チャイムの音に呼ばれてオレは玄関へと向かった。 訪問客は少ないけど、今日は誰が来るか分かってたので、鍵を開けた。 「ねねっ、松、隣のオバサンに松の嫁か聞かれた」 「は?」 いきなり驚くこと言ったと思ったら、靴を脱いでソファーにドカリと座って、パンパンに膨らんだエコバッグから、次々と惣菜を出して行く。 「はいって、返事しといたよー」 なにやってんのこの人!? でか!なんでうちで晩飯的なもの買ってきてんの? 「話あるって...」 名目はそれだったはずだ。 「良いじゃん、明日珍しく二人揃って休みなんだよ?ほら!呑も!」 と、一番下から、ビールとカクテルの缶が、どしどし出てくる。 てか...なんでこんなに買い込んでんの? 「夏樹...お前アホだろ」 「ん?バカだなぁ、松はクロを熱く語りたいだろうと思って、聞く準備して来たっ!」 ドン!と、録音できるレコーダー持ってきやがった。 「何語れって?」 オレもとりあえず座って、ツマミを物色した。 「クロとの、セックス」 ニヤニヤしながら、ビールのリングに指を立ててカシュと軽快な音が耳に届いた。 「うは、露骨過ぎんだろ。 良かった...とだけ答えとく」 そう言いながら、オレもチューハイを開ければ、夏樹が目を輝かせてオレを見た。 「マジ!?」 鼻息荒いからっ!顔を寄せてくんな! 「ね、ね、童貞美味しかった?」 どんだけ突っ込みたいんだ... 「...舐めてねぇし」 だって、普通だよな?美味いか聞かれたら、普通に... 「ちーがーうーいい身体だったでしょ? 松はイったの!?ドライ?」 やべぇ...オレ捕獲された動物みたいに背後に下がったけど...グイグイテーブル押してくるんだが。 「そ、そこまで聞くのかよ」 「当たり前っ!さ、吐け!」 こえぇ... 「ド、ドライでいった!これでいいだろ!」 もう、言うしかないと吐き出せば、両頬抑えて身震い始めた...え?!なんか怖い。 「ふぁあっあぁ!あークロとめくるめく、愛のセックス!滾るっ!超滾るっ!」 クソ、なんでそんな嬉しそうなんだよ! マジで怖いんですが。 「松が、あのキュートな尻穴がっ、クロので、押し広げ...ぶふおっ!!!!」 マジ怖え...てか、聞き捨てならないんだが... 「キュートな尻穴はあの日に見たのか?」 「見、見たっ!写真撮りたかったけど、さすがに私の松が、犯されるのは許せなくて蹴った!」 ドヤ顔してるけど、やっぱり見てたか。

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