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第83話
オレだってありがたい時はちゃんと感謝するぞ!?
ありがとうございますも言えない人にはなりたくないんだよ!
「クロちゃん驚くだろうなぁーこんな根性ひん曲がってない松見たら」
なんか、聞捨てならない言葉聞こえた。
「根性曲がりはひでぇだろ!」
飲んでたチューハイの缶をドンとテーブルに置いたら、呆れた顔で見られた...
なんか、辛ぁ...
「なら、ツンデレ認めなよ」
...参ったよほんと。
グイグイ押し込んで来るし、オレは...オレは
「そんなんじゃねえ!」
勝てないのわかってんのになぁ。
「なら、やっぱり、根性曲がりじゃない!」
勝てないよね...多分、誰から見ても...
うん、諦めよ。
オレの味方なんて居ないんだ...。
「腐れ女っ!」
でも、ただで負けるかよ!
「腐ってなきゃあんたを守ったりしないわよ!」
うわ、確かに守られたな...参りました。
「あ、なんかキュンときた」
くねっと、可愛らしく言ってみたら、引かれた...
「きもっ!」
あーオレのライフZERO。
なんか今日はゆっくり寝れそうだよ。
「松、クロちゃんに会いたいね...」
「ん、もうすぐシーズン終わるから、そしたら会えんのかな...オレ、どうしてイイか解んねぇから、夏樹、お前ならどうする?」
素直に聞いたらなんか涙貯めてて驚いた。
「ちょ、夏樹?」
「松が、人として成長してるっ!」
そう言いながらカバン漁り出した...何やってん?と、テーブルの反対側から覗いたらクロの球団のチケットケースが夏樹の手に握られてて、オレの心臓がどくり...と、脈を強めた。
「SS席...プレゼントするわ」
プレゼントにもビックリだけど...え!?
オレは...震える手でそのチケットを手に取った。
ダメだ、すげー緊張。
観戦なんて...考えてなかった。
中を確認したら。
「え?2枚?」
クロの分なわけ無いよな...?
「素敵なキスシーン見せてね?」
ウインクする夏樹にとことん腐女子なんだと、項垂れた。
「見せるかはクロ次第じゃねえの?
オレは...フェンスの中と外だから...」
もしかしたら見つけてもらえないかもなんて、今までよりもクロのそばに行けるというのに、マイナス思考しか出てこない。
「頑張んなよ、好きな人なんだから」
そう言われて、オレは頷いた。
だって、これが最後かもだろ?
オレの思いが...伝わって欲しいと願いながらチケットを握りしめた。
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