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第85話

そして、とうとう観戦の日だ。 朝からとりあえず、唐揚げ作ってた。 クロに会えるだけで興奮状態みたいで、明け方に目が覚めたから鶏肉掘り出して、2口位の大きさに切る。 切る、切る、切る。 ボールに肉を入れて、中華の素にしょうがニンニク塩コショウ。 それらを揉み込む。 全て目分量だがシンプルなだけに結構簡単だ。 2分ほど揉みこんだら、後は放置で味が染みたら片栗粉をまぶして、揚げるだけ。 大量に作ったから夏樹の家に持ち帰れるように、タッパーに詰めて、おにぎりを握る。 やべ、遠足前の子供かよ。 「あーそういや、クロ辛子明太子のおにぎり好きだったな...」 そう言いながら、誰も居なくても平気で独り言を呟いた。 「あークロは確か、レモン汁欲しいって言ってたっけ...」 当時はそんなもん無いから自分で買いにいけとよく言ってた。 なんか懐かしい。 「あっ、飲み物はスポドリだな」 「そこは球場でビールか」 なんでオレこんなに独り言言ってんの? まぁ、浮かれてるからしゃーないよな。 唐揚げを詰め終わり、結構お重見たいな弁当ができた。 タッパーも、大きいのを買ったから、そこに詰め込んで、おにぎりも、切ったバナナをレモン汁につけて並べていく。 うちの家族は風呂敷好きで、オレも実は持ってたから、それを広げてお弁当を重ねる。 1段目は、唐揚げ大量で2段目は厚焼き玉子と、きのうの夕飯に食べた煮物の残り物とソーセージ。 飾り包丁入れれば、案外綺麗に見えたから、それで良い。 ブロッコリーも茹でて中に入れてバナナだ。 そして三段目におにぎり。 びっしり詰めてやった。 「ん、よく作ったぞオレ!」 ドヤ顔しても誰も見てくれないけどな、夏樹が多分クロの分まで喜んでくれるはずだ。 「あ、そろそろ夏樹起こさねぇと」 当日は絶対寝坊するから起こしてと、言われてたので電話をタップしたら、あっさり出た。 「松ぅ、私眠いー」 「起きてんじゃん、おはよ」 「んー今からでるから駅前集合ねー」 「昼飯作ったからね」 そして、何故か携帯から落とした様な雑音が入った。 なんだよ!? 「ごめ、携帯落とした!弁当なの!?弁当作ったの?」 なんかやたら息巻いてる。 とりあえずうるさいから、切った。 掛かってきたけど...出ないで、駅前に行く準備を始めた。 あいつに捕まると、大変なんだよ。 いろんな意味で。

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