85 / 107
第85話
そして、とうとう観戦の日だ。
朝からとりあえず、唐揚げ作ってた。
クロに会えるだけで興奮状態みたいで、明け方に目が覚めたから鶏肉掘り出して、2口位の大きさに切る。
切る、切る、切る。
ボールに肉を入れて、中華の素にしょうがニンニク塩コショウ。
それらを揉み込む。
全て目分量だがシンプルなだけに結構簡単だ。
2分ほど揉みこんだら、後は放置で味が染みたら片栗粉をまぶして、揚げるだけ。
大量に作ったから夏樹の家に持ち帰れるように、タッパーに詰めて、おにぎりを握る。
やべ、遠足前の子供かよ。
「あーそういや、クロ辛子明太子のおにぎり好きだったな...」
そう言いながら、誰も居なくても平気で独り言を呟いた。
「あークロは確か、レモン汁欲しいって言ってたっけ...」
当時はそんなもん無いから自分で買いにいけとよく言ってた。
なんか懐かしい。
「あっ、飲み物はスポドリだな」
「そこは球場でビールか」
なんでオレこんなに独り言言ってんの?
まぁ、浮かれてるからしゃーないよな。
唐揚げを詰め終わり、結構お重見たいな弁当ができた。
タッパーも、大きいのを買ったから、そこに詰め込んで、おにぎりも、切ったバナナをレモン汁につけて並べていく。
うちの家族は風呂敷好きで、オレも実は持ってたから、それを広げてお弁当を重ねる。
1段目は、唐揚げ大量で2段目は厚焼き玉子と、きのうの夕飯に食べた煮物の残り物とソーセージ。
飾り包丁入れれば、案外綺麗に見えたから、それで良い。
ブロッコリーも茹でて中に入れてバナナだ。
そして三段目におにぎり。
びっしり詰めてやった。
「ん、よく作ったぞオレ!」
ドヤ顔しても誰も見てくれないけどな、夏樹が多分クロの分まで喜んでくれるはずだ。
「あ、そろそろ夏樹起こさねぇと」
当日は絶対寝坊するから起こしてと、言われてたので電話をタップしたら、あっさり出た。
「松ぅ、私眠いー」
「起きてんじゃん、おはよ」
「んー今からでるから駅前集合ねー」
「昼飯作ったからね」
そして、何故か携帯から落とした様な雑音が入った。
なんだよ!?
「ごめ、携帯落とした!弁当なの!?弁当作ったの?」
なんかやたら息巻いてる。
とりあえずうるさいから、切った。
掛かってきたけど...出ないで、駅前に行く準備を始めた。
あいつに捕まると、大変なんだよ。
いろんな意味で。
ともだちにシェアしよう!