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第92話
夏樹と二人でしょんぼりしながら、階段を降りると、目の前にはクロのチームのユニの人が二人立ってて、とりあえず避けて通るのに二人で横にずれた。
けど、降り切る時にはまた前にいて、オレはじろりと睨んだ。
「鏑木が失礼な事してすみません。まさか鏑木があんな行動に出ると思わなくて...」
と、まぁ、謝罪って奴だよ。
「別にいいです、帰るんで通りたいんですけど」
そう伝えたら、少しクロに会わないかと聞かれた。
「なんで?」
「りお、さんですよね?」
と、夏樹を見てた...あーね、うん。
夏樹とオレは目を合わせると夏樹がニヤリと凄まじい顔で笑った。
怖い。
「はい、そうですよ」
オイオイ、勘違いで通す気か?
「少し来てくれませんか?鏑木が会いたがってます 」
その言葉に、泣きそうになった。
ホントにここまで感情が起伏することになるとは。
二人揃って、ロッカールームに通されて、オレと夏樹はカチカチに固まってた。
何せ、あちこちテレビで見る顔が普通に通過してくんだぞ?
そりゃーこっちは固まるだろ?
横で鼻息荒いのは違う意味みたいだけどな。
『ちょっと松!』
すげー小声で、オレは耳を傾けた。
とりあえず、一応聴いておこう。
『...なんだよ』
既に鼻息ヤベぇ。
ふんふんしながら話し掛けるから耳に息がっ!
『男臭くて、辛抱たまらん!』
夏樹さん...あんた、どんだけ親父化してんだよ。
それに返事を返す前に、オレと夏樹の間を水色の、クリップボードが遮って立てられた。
なんだよ?と、見たら...
超不機嫌なクロ。
「...久しぶりに会ってその態度なくね?」
オレが言えば、クロはジッとオレを見ていきなり頭を鷲掴み...
なにすんの!?
「りお、りおだ...」
そりゃ、オレだろ...オレも胸の奥ではクロだと思ってるのにやっぱり出る言葉は...
「オレ以外がこんなとこに居るかよ。てか、夏樹はオレとお前合わせる為にあの席取ってくれたんだからな!」
「...いちゃつき過ぎだ」
は!?どこがいちゃついてんだよ!
「クロちゃん妬いたのー?」
夏樹が前のめりに、クロに食いつく。
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