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第102話
思いを吐き出したら、あっという間に心が軽くなる。
あぁ、この感覚も久し振りだな。
そう思ってたらオレを抱き締めてるクロが真顔でオレを見てた。
あれ?なんか...真顔っ!?
と、慌てそうになったとき、クロが片側から涙が...
え!?なんで!?
慌ててオレがクロの涙拭こうとしたら、離れるなと言わんばかりに抱きしめられた。
「やっと...通じた」
そう言って、肩を震わすクロ。
その、気持ちや思いにオレまで涙が...
「クロ...好き、好きだからっ」
「ん、俺もりおが好きで堪らない」
二人で抱き合って二人で馬鹿みたいに号泣していまい、恥ずかしい程久し振りに泣いた。
「りお、結婚...しよ」
泣きながら何を言い出すかと思えば...おいこら、話飛びすぎだろ!?
「ちょ、付き合う...から始まるんじゃねぇの!?」
ちょっと驚いて、クロを見たら...うん、泣きっ面ではあるけど、嬉しそうで。
オレもそれを見てしまうと嬉しい感情に揺れる。
「結婚しよ!」
あーこいつ感情高まりすぎてんな。
そこまで言われるのも...悪くないけど、まだオレ達は知らない事だらけだぞ?
リミッターの解除されたクロの思いがオレに直接攻撃を仕掛けてくるけどそもそもに、結婚なんて...今はまだ許されてはいない。
「ばぁか...結婚より先に...その、つ、付き合うなら...いいぞ。」
絶対結婚出来ないとか、知らなそう...
オレも、こうやって言うの恥ずかしいんだからな!?
「っ、付き合う!俺のりおだ!」
キツいくらい抱き締められて苦しさを覚える。
「ん、彼氏だな...」
涙でぐしゃぐしゃの二人...見っともねぇなと思うのに、愛おしさが胸を一杯にして、流されるまま...唇を重ねようと目を閉じた時...
ピンポーン...
なんのタイミングだよ...
一瞬顔を見合わせてから、「すげぇタイミングだよな」と、オレが笑いながらクロの肩を叩いてその場を離れた。
そして、ドア開けた。
「え!?なに!?」
オレの驚いた声に、クロもオレの背後に立った。
目の前には、大きな花があったからクロも驚いたようで息を呑む喉の音が聞こえた。
「山上生花店です、松澤りおさんにお届けものです」
そう言って渡された花。
ブーゲンビリア...と言う花の名前らしい。
「送り主は夏樹と言えばわかると」
時間まで指定していたらしい...
なんてタイミングなんだ全く...
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