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第104話

なぁ...と、甘い言葉が耳に掛かる。 ん?と、軽く返せば熱く湿った声がオレの耳に届く。 「抱いて...いいんだよな?」 この期に及んで何を言い出すかと思えば... オレは頷いてから、クロの耳にキスを贈った。 「むしろ、好きにして欲しいんだけどな?...ね、抱いて?黒人」 名前を呼んだら、オレの感情も否が応でも昂って、噛み付くようにクロのキスが降って来た。 クロの肉厚な舌がオレの中に滑り込んで来てそのクロの舌にオレの舌を擦り付ける。 絡み合って溶け出そうな甘い、震えるキスは、何度も互いの口内で追いかけっこを繰り返す。 「ん、...ぁ、...」 漏れる声と、室内に響く水音はこれからの深い交わりを予想させるように、ぴちゃぴちゃと淫靡な空気を作り上げて行く。 「はっ、たまんねぇ...」 そう、言葉を吐いた後オレの腰をガシリと強い両腕で捕まえて、まだ、互いの露出していないそれが、ピッタリと重なる。 「んっ、は...クロ...」 「りおのも、張ってんな...」 ズルリと、擦れる感覚にオレも昂りを隠せる訳もなくその刺激に逃げたいのに、逃がしてもらえない。 「ふっ...クロ、強い...」 「ぁ、悪ぃ...でもりおが誘うから」 少し離れたクロに健気だなと思う。オレとクロの少し開いた隙間に手を差し入れてクロを押し戻すと、ゆっくりと、誘う様に上を脱ぎ捨てる。 ベッドの横に、パサリと落下した服が重力に従う様に萎む中、オレは上半身を起こしたままで、上で立膝のクロの服の裾からゆっくりと手を滑り込ませた。 「っ...りお?」 オレの手に戸惑いの表情で、オレを見るからニヤリと笑ってクロの割れてる腹を撫でる。 「ふふっ、クロの腹筋...程いいよね」 そう言いながら、へその周りから両手を脇腹へと滑らせた。 「クロの肌もツルツルだ」 クスクス笑いながらオレはクロの手触りを堪能する。 そしてゆっくり手を体を這わせながら上に押し上げると、鎖骨へ辿り着く頃には服が持ち上がっていた。 「はっ...りお」 ぶるりと、クロが身体を震わせるその姿にも、オレの(さが)が反応する。 きっとクロなら、なにをしても...オレはそれに欲を引き()り出されるんだろうな。 「イケメン捕手の、服脱がせるのって背徳感だよな」 なんて笑いながら、服のごわついた塊を引き上げた。 「ん、りお?」 オレの行動に何をしたいのかと言うのがクロにも伝わったのだろう。

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