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第3話

「久しぶりだなー!まさかお前だったなんて!えぇー!」 そうだ、その声を聴いて思い出した。彼が誰なのかを。 それにしたって大袈裟に言うもんだから、周りの何人か振り返る。こういうのは苦手だ。 「悪いけど、ちょっと声のトーン落としてくんねぇかな」 めちゃくちゃ恥ずかしい。 言うと向こうも気がついたみたいで、一気に声のトーンを落とした。 「いや、悪い悪い、あんまりびっくりしちまったもんだからつい」 「俺だってそうだよ」 場所を置くのテーブル席に移す。その間も、彼ははーだのわーだの言って感慨深そうにしていた。 「それにしても……はぁー、まさかなぁ」 しげしげと上から下まで眺められる。 「だって、卒業以来だろう、もう10年以上だ、全然連絡も取ってないし、お前同窓会にも顔出さないじゃないか」 「まぁね」 「それでよく今一発でお互い気づいたもんだよな」 「そうだな」 「いやー、ホントびっくりした、ははっ、後で他の奴にも連絡しなきゃ、お前に会ったこと」 笑うと顔がくしゃっとなるところは昔と変わりないな。 彼は、俺の学生時代の同級生。 スポーツ万能で成績優秀、友達も多いという絵に描いたような出来る男の代表みたいな奴で、俺ともたまに一緒にメシ食ったりしていた。 俺に限れば、もともと人とつるむのが好きじゃないから、人とメシを食うこと自体稀なことで、その点で言えば彼はよくぞその隙間に入ってきたものだと思う。 「連絡したってみんな忘れてるよ、俺のことなんか」 「何言ってんだよ、忘れるもんか、女ったらしのお前のこと」 「別にたらしてねぇよ」 「次から次に女引っ掛けてたじゃないか。普段は全然そんなの興味ないみたいな顔しててさ」 「そうだったかねー、忘れたな」 「ったく、その辺は相変わらずかよ」

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