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第7話
「わかった、じゃあ少し心の準備が欲しいから、もう少し待ってくれないか」
「心の準備?」
「だって、取材だ特集だって急に聞いたもんだから、戸惑っちゃって」
「ははっ、そんな大したもんじゃないさ。巻頭とかじゃなくて、1ページ分のカラーページを作るだけだから」
とは言われても、あまり目立ちたくなく生きて来た人間としては、雑誌に載ってしまうというだけで大事件だ。
「じゃあ顔は載せないから。それならどうだ? その腕はweb上にもう写っちゃってるんだから、近影として撮らせてもらいたいところだけど」
「あ、ああ」
顔を出さないならいいか。と、また安易に考える。
「本当は顔も載せたいとこなんだけどなー、イケメン効果で部数増えそうなのに」
「オッサン相手に何バカ言ってんだよ」
まぁ素性バレたところで、読者層を考えれば俺の普段の生活じゃ会わないような人ばかりだろうけど。
いろいろ思い巡らせている間に、彼はパソコンを開いたり録音機を準備したりしていた。
「じゃあ、とりあえず、どうしてパン作り始めたのか聞こうかな」
仕事モードになったけど、特に雰囲気がピリつくこともなく、粛々とインタビーされた。
パン作りはただの趣味だったこと、後輩に食べたいと言われたから作ったこと、その後輩に写真を撮られてSNSに載せられたこと。こんな展開になって驚いていること。
話の引き出し方がうまくて、ついいろいろと話してしまった。
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