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第13話
「なんで刺青入れたんだ?」
「いろいろあったんだよ」
「いろいろって?」
「お前が彼女いるって嫁に言えたら教えてやるよ」
「なんだよそれ!意地悪だな~」
笑いながら上着に触れてくる。すっげぇ不快だったけど振り払うのも気が引けた。
「ちょっとちゃんと見せてよ」
今度は意図的に上着の肩を脱がされる。
随分ジロジロと刺青を見ている。普通に生活していたら、確かに刺青なんて珍しいのか。しかもこんなにめいっぱい入れてるのなんか余計に。
「すっげぇなぁー……ドラマなんかでしか見たことねぇよ」
「そうかよ」
「なぁ、なんの柄?」
そのまま反対の肩まで脱がせてくる。タンクトップと両肩が露わになった。
背中がクロスしたタンクトップを着ていたために、肩甲骨で向かい合う竜の姿もそれとなく晒される。
「竜か!すげぇなー、カッコイイ」
本当にそんなこと思ってんだかどうなんだか。
「もういいだろ」
また上着を羽織る。その流れで酒を煽り飲む。一連の仕草を、カウンターに肘をついたまま見つめられた。
「……お前さぁ、男なのに結構色っぽいよな」
そしてポツリと呟くのだった。
「はぁ?」
上着の脱ぎ着しかしてないのに何言ってんだこいつ。
「飲みすぎて頭のおかしくなったんじゃねぇか?」
半笑いで言うと、思ったよりもハッキリした声で返された。
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