13 / 38

第13話

「なんで刺青入れたんだ?」 「いろいろあったんだよ」 「いろいろって?」 「お前が彼女いるって嫁に言えたら教えてやるよ」 「なんだよそれ!意地悪だな~」 笑いながら上着に触れてくる。すっげぇ不快だったけど振り払うのも気が引けた。 「ちょっとちゃんと見せてよ」 今度は意図的に上着の肩を脱がされる。 随分ジロジロと刺青を見ている。普通に生活していたら、確かに刺青なんて珍しいのか。しかもこんなにめいっぱい入れてるのなんか余計に。 「すっげぇなぁー……ドラマなんかでしか見たことねぇよ」 「そうかよ」 「なぁ、なんの柄?」 そのまま反対の肩まで脱がせてくる。タンクトップと両肩が露わになった。 背中がクロスしたタンクトップを着ていたために、肩甲骨で向かい合う竜の姿もそれとなく晒される。 「竜か!すげぇなー、カッコイイ」 本当にそんなこと思ってんだかどうなんだか。 「もういいだろ」 また上着を羽織る。その流れで酒を煽り飲む。一連の仕草を、カウンターに肘をついたまま見つめられた。 「……お前さぁ、男なのに結構色っぽいよな」 そしてポツリと呟くのだった。 「はぁ?」 上着の脱ぎ着しかしてないのに何言ってんだこいつ。 「飲みすぎて頭のおかしくなったんじゃねぇか?」 半笑いで言うと、思ったよりもハッキリした声で返された。

ともだちにシェアしよう!