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第16話
急激に眠気に襲われたのは、ドリンクを半分飲んだあたりだった。
(あれ……)
一気に夢の底へ突き落とされるような、強烈な眠気を感じた。
瞼が重い。
頬杖をついてなんとか起きる姿勢を保ったものの、カクンッと頭が落ちてしまう。
そんなに眠かったっけ。
頭では違和感を覚えつつも、力が抜けて行く感覚には逆らえない。
「おい、どうした、大丈夫か?」
彼の声がする。
俺は腕で枕を作って、ついにカウンターに突っ伏した。
「らめ、ねぅい」
呂律も回らない。
眠かったとはいえ、この程度の酒量で酔うはずもないのに。
「おいおい大丈夫か~? しっかりしろ、寝るな」
寝るなと言われても眠いものは眠いんだ。
ポンポンと背中を叩かれるが、反応することも出来ない。
あまりにも自然に眠りについていた。
彼は、俺を見下ろして笑っていた。
冷たい目で、片方の口角だけ歪めて。
「悪く思うなよ」
低い声で呟かれた声も、その時の俺の耳には入ってこなかった。
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