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第20話
「どうでもいいけど腕解けよ、何だこれ」
とりあえず話はそれからだろ。
頭の上で束ねられて、腕を動かすたびにカチャカチャと音を立てている。
手錠、だと思う。何でこんなもん持ってんだ。
「それは出来ないな」
彼は楽しそうだった。その微笑みが、ぞっとするほど気味悪い。
「はぁ? 何だよそれ、早く取れって!」
思わず声を荒げた。焦りを感じる。明らかに状況がおかしいのに、体の自由を奪われた状態は明らかに不利だ。
怖い。
こんな恐怖心を感じたのはどのくらいぶりだろう。
「あんまり大きい声出すなよ、騒いだら俺もお前も下手すりゃ警察の世話だぞ」
警察なんか行って、これ以上手を縛られたらかなわない。
彼のニヤニヤは止まらない。
「ちょっと相手してくれたら、すぐに外すからさ」
そう言いながら、横たわったままの俺の胸に触れてくる。タンクトップを挟んだものの、ほとんど直に触れられたようなもんだった。
「っ、なに」
脚をバタつかせる。けど、腕を押さえられてるから思うように動けない。
そのままタンクトップをめくり上げる。
「お前の体見てたら、なんかムラムラしてきちゃってさ。今日ほら、嫁さんも彼女もいないし」
何にも反応してない乳首に触れられた。
「持ち歩いて見るもんだな。彼女に使おうと思ってたんだけど、薬も手錠も」
そのまま舌を這わされた。
「やめろって!」
声をあげるので精一杯だった。
あー、そうか、強姦被害者ってこんな気持ちなのか。
頭のどこか冷静な部分が思う。
あんまり借りることなかったけど、もうソッチ系のAV借りないよ。絶対借りない。
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