20 / 38

第20話

「どうでもいいけど腕解けよ、何だこれ」 とりあえず話はそれからだろ。 頭の上で束ねられて、腕を動かすたびにカチャカチャと音を立てている。 手錠、だと思う。何でこんなもん持ってんだ。 「それは出来ないな」 彼は楽しそうだった。その微笑みが、ぞっとするほど気味悪い。 「はぁ? 何だよそれ、早く取れって!」 思わず声を荒げた。焦りを感じる。明らかに状況がおかしいのに、体の自由を奪われた状態は明らかに不利だ。 怖い。 こんな恐怖心を感じたのはどのくらいぶりだろう。 「あんまり大きい声出すなよ、騒いだら俺もお前も下手すりゃ警察の世話だぞ」 警察なんか行って、これ以上手を縛られたらかなわない。 彼のニヤニヤは止まらない。 「ちょっと相手してくれたら、すぐに外すからさ」 そう言いながら、横たわったままの俺の胸に触れてくる。タンクトップを挟んだものの、ほとんど直に触れられたようなもんだった。 「っ、なに」 脚をバタつかせる。けど、腕を押さえられてるから思うように動けない。 そのままタンクトップをめくり上げる。 「お前の体見てたら、なんかムラムラしてきちゃってさ。今日ほら、嫁さんも彼女もいないし」 何にも反応してない乳首に触れられた。 「持ち歩いて見るもんだな。彼女に使おうと思ってたんだけど、薬も手錠も」 そのまま舌を這わされた。 「やめろって!」 声をあげるので精一杯だった。 あー、そうか、強姦被害者ってこんな気持ちなのか。 頭のどこか冷静な部分が思う。 あんまり借りることなかったけど、もうソッチ系のAV借りないよ。絶対借りない。

ともだちにシェアしよう!