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第21話
「まさか俺が男に興奮すると思わなかったなぁ。女としかヤッたことないのに、なんか今日はすっごいお前にムラムラするわ」
生温い舌で、胸元を舐めていく。
脚の間に身体を割り込ませ、本格的に組み倒される。
本当に気持ち悪い。手が動いたらブン殴ってこの場から逃げ出すと思う。
いくら手を動かしても、手が痛いばかりでビクともしない。
こんなの女に使おうとしてたなんて、こいつ結構ヤバいんじゃないか。そういう性癖なのか?
昼間の爽やかリーマンぶりが見る影もない。学生の頃だって、こんな奴じゃなかった。裏の顔をもろに見せつけられて、頭が混乱したまま。
「っ、ざけんな」
恨み言しか言えない。
脚だって大きく開かされて、強制的に受け入れさせられる体勢だし。
「なんでだろ、やっぱ喉とか肩とか、ほっそりしてるからかな。肌も綺麗だし。なのにこんなに刺青彫って…」
上着の内側から腕をなぞられる。背筋がゾッとする。
「男は初めてだけど、できる限り優しくする。心配すんな、結構上手い方だからさ」
そして唇にキスしてこようとしてくる。
ああ畜生、てめぇの好き勝手にしやがって……!
恐怖心の中にあった怒りが、重ねられた唇に向けられた。
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