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第23話
「ま、好きにやらしてもらうよ」
彼はそのまま、俺の体の上にのしかかって、もう一度キスしてきた。
今度は噛まない。我慢しろと自分に言い聞かせる。絡められた舌から、さっきの酒の味が移ってきた。
あぁ、バーに行けばよかった。
黙ってこいつと昼間に別れて、いつものバーに行けばよかった。
もとはといえばあのバカ後輩が写真をネットにアップしたからで。
しかも今日一緒に取材受けなかったからで。
考えたら考えるだけイライラしてきた。
不思議と悲観的にはならなくて、さっさと終われとしか思わなかった。こいつといる今日1日、何回同じことを思っただろう。
もともとあまり一緒にいるべき相手じゃなかったんだろうな、学生の時の、昼飯たまに食って解散くらいの距離感がちょうどよかったんだ。今気づいたって手遅れだけど。
全く反応しないままの体を、彼は丁寧に撫で、舐めてくる。動くと香るボディソープは、ちゃっかり自分だけ風呂に入ってやがった証だった。
「ちょっと腰浮かせて」
指示してくる。とにかく現状が早く過ぎることに終始したい俺は、迷いなく素直に指示に従った。
バカに素直だな、怖いよ、なんて言いながら笑ってる。従ったら従ったでそれかよ。
ジーパンをパンツごと脱がされる。下半身だけすっぽんぽん。
しっかりシモを見られた。
「そこそこだな」
と一言。別に自慢のブツってわけじゃないけど、さすがにこれは怒っていいだろ。
「うっせぇバカ! 不満なら脱がすな!」
足をばたつかせると、吹き出すように笑った。
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