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第32話

ただ、さっさと解放されたい俺には、過去2回の経験から、導き出した答えがある。 それは、甘ったるくねだりおだてること。 俺も普通に女のコとしててそうだけど、男って単純なもので、褒められると調子に乗りすぎて簡単にネジが外れちゃう。 ただ、ネジの外れ方が変な方に行くと厄介なわけで。 簡単に果ててくれればいいけど、そのまま調子乗って余計にエスカレートする可能性もある。 こいつはどっちパターンだろう。前者であってほしいという縋る気持ちが強かった。 「っ、なぁ」 伏せられた状態で、無理矢理彼の顔を見るようにしながら声をかける。 「あ?」 腰を打ち付け続けていた動きが止まる。話を聞いてくれる猶予はあるのか。 それなら試す価値はある。かも。 「このカッコ、やだ、苦しい」 苦しすぎて文章が話せない。単語を並べて訴えると、溜息を1つついた。 「いや? 苦しいの?」 殊更優しく聞いてくる。気持ち悪いと思いながらも、弱々しく頷く演技をする。 「やだ、ねぇ、手外して?」 ねだるように甘ったるく囁く。もともとプライドがあったわけじゃないけど、それにしたってこんな奴に哀願するなんて気持ちがズタズタだった。 大体にして、おっさんがおっさんに甘える縋るなんて、我ながら本当に気持ち悪い。 けどやる。さっさと終わらせるためにはこれしかないから。

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