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第34話
未だに苦しいばかりで、彼の手のひらに包まれたままのムスコも半勃ちで反応していない。
一回イかされてるし、またイく体力もない。彼が果てればそれでよかった。
「っ、あー」
彼の声が徐々に険しくなってくる。彼のペースに合わせて、体がキツイなりに体を揺らした。
掴まれたままの腕の拘束を解かれた。自由になった手で、シーツを強く握る。縋るものがないと、理性がどこかに飛んでいきそうだった。
両手でしっかりと腰を掴まれ、奥まで抉られて、食いしばった歯の隙間から漏れる声が乱れる。
「はっ、あ!」
内側の敏感な部分を掠められ、思わず背をそらせた。
全身から汗が滲んだ。解けたバスローブが覆いかぶさってくる。
「あー、もダメだ、イく」
低くて掠れた声が、耳に直に囁いてくる。
さっさとイけ!
願うように祈るように、頭の中で繰り返す。
もはやこういう行為の本筋からずれた願いなのかもしれないが、俺がやりたくて始まった行為じゃないから、早く終われと願うのは筋だろう。
殊更強く突き上げられ、変に甲高い声をあげてしまった。
そのまま彼の動きが止まった。
中で粗相されたみたいな、じんわりとした熱さを感じる。
……しまった。
一番避けるべき事態を避け損ねた。
「あー、悪ィ、中に出しちゃった。けどいいよな、別に妊娠もしないし」
けろっとして口早に言うのを睨みつけてしまった。
数年前の腹痛の悪夢が蘇る。
「はぁっ? ざけんなバカが! さっさと抜け!」
人の気も知らないで!
軽く言うのが頭に来て怒鳴ってしまった。
俺がいきなり怒ったもんだか、彼はものすごい驚いた顔をしていた。
「手錠も!」
同じテンションで言うと、慌てて外した。
こんなことしてられない。急いで出さないとまずい。
ろくに立たない脚を引きずってトイレに駆け込んだ。
さっきまで完全優位に立ってた彼をベッドの上に置き去りにして、俺はしばらくトイレに籠城したのだった。
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