4 / 26
同乗者は腹ペコらしい
ボートに乗り込んでからまず男前さんがボートのほとんどを占領してるためオールが漕げないという重大な問題に差し掛かった、もう陸から離れてるから後戻り聞かない………。
じゃあ仕方ないからと、#創作__クラフト__#スキルを駆使して氷の風車的な物を作り、それを後ろの方に設置して移動する。
それからは時間に余裕があるため琵琶湖並みに広い湖を回ったのだが、男前さんが寝言かなんかで「腹減ったー」だのとつぶやきだしたため口に手作りクッキーを突っ込んで放置☆。
その後もなんかうるさかったけど景色を楽しみたい僕はそれらをBGMと認識として放置した(酷いとか言わないでね)
数時間後
湖の上で風に揺られながらうだうだしていたが、日も暮れ始めて暗くなったため帰ろうと悩む。
でも別に元の世界みたいに門限があるわけでも無いし、受験勉強もする必要がない。
そしていざとなれば「#影の扉__シャドーゲート__#」と呼ばれる不死人特有の技があるのでそれを使えば帰れる。
湖の真ん中へボートを動かし、夜の森を眺める。
静寂、何処か寂しいと思うほどに殺風景、湖はボートが動くときにおこる波紋以外は全く動かず、岸の方は様々な大きさの木しかない。
三分で飽きたよこれ。
さて、じゃあ夕飯にするか。
一人だったらつまんないしすぐ帰ろうとしただろうけど、今は一応(?)もう一人いるため少なからず心強い気持ちになれる。
人がもう一人いるだけでもう違うよね?。
この人の性格わかんないけど太めの眉に目は少し吊り目、語彙力ないけど、ワイルドな顔立ち、なんというか、かっこいいおじさんって感じかな、ちょっと悔しい。
聞こえる声は割と好みでお腹に響きそう。
この人、見た目からして軍人なんだろうね。
元の世界の時オタクとも言えるほど自衛隊好きの友達がいたためそこらへんも中々好ましい……………。
ーーん?。
「なんで今乙女的思考で観察してたの……………?」
思わず顔が熱くなり耳も絶対赤くなってる。
異世界で同性婚OKでも気持ちまで変わったらダメ、ゼッタイ!。
「…………とりあえず軽めのサンドイッチ作ろう」
野菜は畑から収穫したし、肉はさっきの虎とかからたまに分けてもらったりして割と多い。
簡易的なテーブルとまな板、包丁をバッグから取り出し設置する、そしてレタスに食パン、ベーコン、トマトを取り出し均等に切っていく。
「この人の分も作ったほうがいいよね?」
さっきから寝言よりも大きな音を立てているお腹の虫が喚いてる、
うん、作んないと公害レベルだ、こんな音をバッグに優雅に食事なんてできないよ。
そこでふと、味付けが無いことに気づき、味噌とマヨネーズを取り出してお椀に1対2の割合で入れて混ぜる。
それをパンに塗り、レタス、ベーコン、トマトの順にのせていき最後にもう一度パンを乗せて半分にカットすれば、完成☆
「で、この人は………起こしたほうがいいよね?」
さっきからずっと爆睡してる 名前も知らない男前、いい加減起きてもいい頃だと思うし寒くなってきたから風邪ひいたらいけない…
「あのー…………」
とりあえず肩を押して揺する。
無反応。
「もしもしー?」
額をペシペシ叩く。
無反応、おい。
「お、起きて~」
頬っぺたをつねる、なにこれ固っ!
無反応。
打つ手が無い………。
「サンドイッチどうしよう…………………」
ピクッ 。
お?眉がちょっと上がった、おーし、
「食べないんなら全部食べちゃちゃいますよ?」
「ムゥ…………!!」
眉間にシワがよりだしてて怖いけど、もう一息。
試しに口元にちょいちょいとサンドイッチを持っていく、すると……。
バクゥッッ!!
「へっ?!」
「ほふぁへひひふぁふぇんふぃひほ!!」
男前さんがサンドイッチを口にくわえて突然起き上がり凄い剣幕で何か言ってるけど……………。
「何言ってるかわからないので食べてからで言ってください」
見た目シュール………。
とりあえず話ができないから水の入ったコップを渡す。
それを受け取った男前さんは水を一気飲みした。、
「ング、おまえもっと早く起こせよ!」
「はい?」
水のおかわりかな?
そう思い水を用意するが男前さんはしかめっ面になって「そっちじゃねえよ」と言う。
じゃあなんぞや?。
「俺が腹減ってるって催促してたのに菓子一枚寄越して放置って拷問か!ーーもっとくれ。」
あぁサンドイッチね、
「起きてたってことですか?、どうぞ」
足りないだろうから僕の分も皿に置いて渡す。
「半分寝てたけど意識はあったな、」
僕が渡しあ皿を受け取りながら男前さんは答えるがええ~………じゃあ催促してたってこと?。
なんか複雑な気分。
「もっと無いのか、サンドイッチ」
むむむっとしてると先程と変わらない顔で寄越せとおかわりを要求されるが…。
「もう食べたんですか!?」
早!。
「あの量じゃ軽食にもならん」
結構作ったはず……………だよね?、
「…………あとはうちに帰んないとありませんよ」
冷蔵庫の方に食材入れてるからバッグには後は非常食位しかない…………。
「ではお前の家に行こう、」
え~、即決でなに決めてるのこの人。
「何勝手に決めてんですか「何か文句が あんのか?」無いです………」
脅しじゃん…………、脅しって言うかこの人ヤクザやん……。
「にしてもこの船遅いじゃねぇかよ」
男前さんはボートをぽすぽすと叩きながら言ってくれるが。
今度は文句かい…………。
「あなたが邪魔でオールが漕げないいんですよ…」
オールを指差しながら言う、大体このボートは素材集めをしてる時にみつけたゴムの木を加工して作った懇親の作品、決して早く走るために作ったのではい、氷の風車的なものでゆっくりと移動して楽しむものだ。
「あ?、そりゃあ悪かったな、じゃあ俺が漕いでやるよ」
そう言って男前さんはオールを手に取り漕ぎ出す。
一漕ぎす一漕ぎがでかくて漕ぐことにぐんぐん進んでいく…………。
見た目ゴツい通り力強いねぇ。
「で、どっちの岸につきゃいいんだ?」
え?、考えずに漕いでたの?、そしてそんなぐいぐいやってるのになんで息一つ乱してないの?。
僕だった次の日筋肉痛になるレベルだよこれ。
「とりあえずどっちでもいいですよ?魔法で帰れますし」
いや、#影の扉__シャドーゲート__#は正確には魔法じゃないな…………、まあいいか。
すると男前さんはそのきつい目を丸くする。
「なんだ、お前空間魔法使えんのか?」
…………は?、あのバッグとか使わずにアイテムボックスを作れたり魔力使えば好きな場所移動できるやつ?。
魔法なんて高度な物使えるわけないじゃないですか」
一定のレベルと条件を満たさないとゲットできない凄い羨ましいやつやん。
「じゃあどうやって帰るんだよ」
今度は訝しげな顔になる男前さん、うーん、説明したいのも山々だけど。
「ついてからの秘密です、」
説明長いからめんどくさい♪。
「ああ?、なんだよケチケチしやがって、教えてくれたっていいだろ」
器用にも片手でオールを漕いで僕の頬をツンツンしてくる男前………、てなにこれ!?。
「いやでーす」
とにかくこんな所で説明するような事ではない、無視無視っ!
男前さんのされるがままになっていると。
「ブーブー」
……………おいまて。
「その顔でそれやめて下さい…………」
男前がそんなぶりッ子用語を使うなよ…………。
「ははっ、やっぱり?」
豪快にいい笑顔で笑ってらっしゃるが……。
こいつ確信犯か…………!
「……………自覚してるんならやめて下さい」
「あいよ」
あぁおもしれえとひとしきり笑った男前さん。
なんか変なことを話してるうちに岸辺についてしまった。
「所で、貴方も家に来るでいいんですね?」
確認は大事だからボートの空気を抜きながら男前さんに聞いた。
男前さんに空気抜きを手伝ってもらないながら、聞くとゴムボートが萎んで行くのを興味深そうに見ていた男前さんは僕を見てにかッと笑う。
「おう!よろしく頼むぜ、…………そうだな、あとついでに飯と何日か泊まりたいと思ってるからよろしくな」
なんと図々しい男!、これでブサメンなら冷凍にして砕く所だ!、しかも。
「家主の許可とってませんぞ…………?」
「あ?誰だよそりゃ」
「僕」
自分を指差しながら言うと男前さんはなんだと言って。
「なら別にいらねえだろ、それともなんだ、
俺が泊まったら嫌って言うのか、あぁ?」
半分脅しになってるのは気のせいか………?。
「もし嫌って言ったらどうします?」
「力ずくで泊まる」
胸を張って即答してくれるが…………。
この人ならできそうで怖い。
ため息をつきながら一本の木の方へ近づく。
そんじゃ、やるか。
「【シャドーゲート】」
僕がその言葉を発すると、夕日に照らされている自分の影がゆらゆらと動き出した。
それが徐々に一番近くの木に伸びていき、その影が木にそってのぼりだす。
「………なんだよその気持ち悪い影」
今木の方向いてるから男前さんどんな顔になってかわからかいけど絶対へんな顔してよね、失敬な。
「ちょっと黙っててください」
集中できないでしょうが。
自分の今住んでいる家のイメージを頭に浮かべて。
…………ガチャリッ。
影がトビラのような形に変わりそのトビラが開く。、
「多分この先に僕の家がありますよ、」
こっち来てからら使ったことない、ドアの先が見えないからよくわからないね。
「……………多分てなんだよ」
男前さんから最もな事が効かれるが。
「これ使ったの初めてなので…………」
えへへと頭をポリポリとかく。
「照れるなこら」
呆れた顔で怒られてしまった、てへぺろ。
「では行きましょうか、僕の家へ」
「おう、邪魔するぜ」
僕と男前さんはそのトビラの中に入ったのだった。
ともだちにシェアしよう!