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★戦地の跡にて★

長い夜があけた……。 ……くせぇ。 わざわざこっちが交渉の余地や和平の道を示してやったってえの、あいつらが宣戦布告してきやがったのが数日前。 今は、戦場の後片付け、取り残しがないかの確認。 刃が潰れ、握れば軋む使い物にならくなった斧を投げ捨て、死体の転がる平原を進む。 「たく……んどくせぇ、ねみいし腹へったし……帰ったら寝る……いや、食ってから寝る、あーめんどくせぇ」 携帯食料もねえしこんな死体だらけの平原で野宿するほど悪趣味でもねぇ。 部下は引き上げて今頃城について休んでるだろうが……俺が城に帰っても戦の報告のために書類だのなんだのとやんなきゃならんしなぁ、………めんどくせぇ。 森の中にでも入って仮眠でもとるか? 木の上にでも登ればマシだろう。 のんびりとそんな事を考えてながら森を見たとき、そこには小さな子供がいた。 こんな季節には不釣り合いな黒いコートにそのコートに巻きついてい平たい紐。 何故こんな場所にいるんだと疑問に思ったが、その子供の目の前にいるアンデッドを見て足に力をいれる。 人や動物の死体をしばらく放置していれば時折動き始め、生物と言う生物を襲いはじめる。 だから俺が相手した奴らは跡形もなく吹き飛ばしているが、それ以外は当然そのままだ。 「ギィ''イ''ア''ァア''ァアっア!!!!!! 」 子供の元へ行こうとと一歩踏み出したとき破裂音とアンデッドの吠える声が響いた。 向かおうとした勢いを殺し様子を伺えばアンデッドは燃え断末魔を出し嫌な臭いを出している。 「おいおい……」 魔法を使ったのなら微かな流れを感じるはず、……今の物は魔力を感じず、ただそこで爆発したような燃えかたをしている。 あの坊主は何をしやがった……? 灰と化しているアンデッドから興味は失せ、子供のいた場所を見れば、既に子供の姿は無かった、 子供の気配をを辿り後を追えば、見たことのない広く大きな湖に行き着く。 そこにいた子供は何かに向けて息を吹き掛け顔を赤くしている、 沸々と眠気を押し退け、子供のしている事に興味が沸く、しばらく坊主からもみえる距離で観察していたが気づく気配もない。 「やっていることに必死なのか?」 しばらく見ていれば晴れ晴れとした顔でバッグを漁る子供だが、また顔を歪める。 疑問に思い少し近づけば、子供はすぐそばの木の幹に腰掛けバックを膝にのせ何かをはじめる。 黄色い小舟だ、離れた場所の木の幹に座る子供はさておき、水に浮かぶそれをまじまじと観察した俺は恐る恐る触れてみると柔らかく、さわり心地がいい。 脆くもない………試しに子供の様子もみつつ船に乗り込み寝っ転がると簡易テントのベッドとは比べものならないほどの寝心地の良さに誤魔化していた眠気が一気に顔を出す。 体のだるさに逆らう気も起きずそのまま瞼を閉じ、意識を手放した。 ふと、規則的な水の跳ねる音に意識が覚める。 うっすらと眼を開けてみれば目の前にはあの子供。 視線を動かせば水車のようなものがゆっくりと回っている……腹へった……ねみぃ。 それにしても、あの子供、周りを見てる目がすげえキラキラしてる……可愛いじゃねえか。 んん……ほとんど食って無かったからなぁ、腹が空いた。 「腹、減ったな………」 思わずつぶやいてしまい、起きてることがばれたかもしれないと子供を薄目で見れば。子供は首をかしげるとバッグを漁り出す、そして紙袋を取り出すと香ばしい匂いのクッキーが出てきた。 ………いいな。 クッキー、軽食には最適なそれの味を連想し唾液が溢れる。 子供は俺の口を半端無理やり開けると口の中にクッキーを突っ込んだ。 不自然にならないようにゆっくりと咀嚼すれば素朴な甘さが口に広がる、 うめえな………… 砂糖はどの国も値段が高く貴重なはずなのに余すことなく使ってやがる。 家が金持ちなのか?クッキーはサクサクとしてうまい。 もっと欲しいと思い催促をするが、反応なし また声を出してみるが、反応なし。 再度試す、反応無し。 再度試す、反応がねぇ……チッ 再度・・・・ ふん。しかたねぇ、目がさめたら無理やりにでも奪ってやる。 再び俺は目を閉じてゆっくりと意識を手放した。 何か、小さな小動物にちょっかいをかけられる夢を見た……。 ん……? あれからどれくらい時間がたったのか空腹で目が覚めれば、肌に感じる風が冷たくなっている。 ん……? 頬を軽くつねられてるな……なんだ? 「サンドイッチどうしよう…………」 なに? サンドイッチだと? よこせ。今すぐよこせ 「食べないんなら全部食べちゃいますよ?」 ああん!? 誰が食わないつったんだゴルアァ!! ……今近くにはあの坊主しかいねえ、てことはあいつだな、おう、上等じゃねえか……! あぁ、……腹が減ってるイライラする……? お? なんかうまそうな匂いが……。 目を開けるよりも先も体が先に動き、目の前のものにかじりつく。 ふわっと柔らかいパンに挟まれたしゃきしゃきの新鮮でみずみずしい野菜、噛めば甘酸っぱく美味い。 うめえ。 口のなかに食べ物を詰めながら俺は目を開く。 やっぱ腹減ってるを入れてもこりゃあもっと食いてえ…。 前を見ればあっけにとられた子供。 この飯にに免じて許して……いや待て、もっとくれるんじゃね? 「ほふぁへひひふぁふぇんふぃひほ!!」 訳(お前いい加減にしろよ!!) チッ、口の中のものが邪魔でしゃべれねえ。 すると子供は微妙な顔をしながら水を差し出された。 どうやって作ったのか分からねえ小舟、小さなカバンからはそのカバン以上にでかいものをいくつもだして何気ない顔で何処からか沸いたアンデッドを葬る。 そして空間魔法でもないのに場所と場所を繋げる魔法……とどめにこんな危険な森にいるこの可愛げのある小僧……。 気に入った……!!

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