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第3話
俺は目的地を伝えて、どうやったら行きやすいのか尋ねた。
「あー、あそこは結構遠いよ!歩きは無理だね」
癖のある英語で返される。
「バスとか出てないの?」
聞き取れないくらいじゃないから、気にせず会話を続ける。
「バスなんか出てないよ!途中で入れなくなるんだ、地元の奴らも入れないんだ、中で働いてる奴くらいしか入れない」
「はぁ~?マジで?」
「そりゃそうさ、だって高級リゾート地だからな!」
「へー、警備上の都合ってやつかな。初めて来たから全然知らなかったよ」
「そうかい!ようこそ、来てくれてありがとう!あんたはそんなに金持ちに見えないけど、何の用だ?」
失礼な奴だなこの野郎。まぁいかにも外国って感じがしていいけど。
「呼び出されたんだよ、昔の知り合いにね」
その通りなんだけど、適当に答える。
「知り合い? 随分景気のいい知り合いがいるんだな!」
「まーね」
ホントに景気のいい知り合いなんだよ。
まさかまた会うことになろうとは思いもしなかったけど。
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