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第7話
とはいえ、届いた航空券だけを頼りに全然来たことのない島に来たというのも、我ながらかなりの大冒険だった。
初めて刺青入れたときのドキドキを思い出す。
「どーすっかな、トチッたな」
思わず独り言を口走る。
それこそ航空券とデフォルメされた簡単な地図がだけ送られてきただけで、細かい交通機関を調べていなかった。
早速ハプニングに見舞われるとは思ってもいなかったけど、それも旅の醍醐味ってヤツですか。
とりあえず目的地の方角に向かって歩いてみる。海外旅行サイズのキャリーをゴロゴロ転がしながら。
このキャリーも大昔海外旅行したときに買ったやつだったのだけど、我ながら物持ちがいい、今も余裕で使える。ただしキャリーそのものが扱い慣れない。
ほとんど垂直に突き刺さってくる陽射しが、妙に爽やかで鋭い。明らかに非日常の世界に来たのを肌で感じて少しテンションがあがった。
(空港出たら東の方だったような)
小さな空港だから出るのは容易い。ただし舗装された道でもなんでもないから、キャリーを押すにも引くにも厳しい。
砂埃と赤土で出来た道路は幅が広く、それでいて人と車とバイクが入り乱れている。音も臭いも解放感も、日本のスクランブル交差点の比ではない。
そのほとんどが地元の人みたいで、一般旅行者の俺は変に目立っていた。
「ったく、こんなところ歩かなきゃなんねーとは、な!」
「でもやっぱいいわ南の島!最高!」
何か言ってないと気が済まない。
街の喧騒に負けないようなデカい声で独り言を言いつづけていたら、余計に視線を向けられた。変なアジア人がなんか言ってるって顔して。すいませんね愚痴っぽくて。
10分も歩いた頃、軽いクラクションの音を背後で聞いてふと振り返る。
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